きっちり置かれたものより、放り出されているかのような置き方が、趣をもつこともある。
もう住まなくなった家の玄関先。
盛り上げた土に囲いがあって、アロエとススキがきちんと植えられていたら、なんだこれはと思うだろう。
自転車の雨よけにはさほど役に立っていない破れたビニール波板も、気は心とはこのことと、ひと役買う。
いろいろな事情が詰まっていそうな空家、木製の扉とひさしから、何十年か前に大工さんが精魂込めて造りつけていた様子が伺われる。
当時は育ち盛りの子供がいて、この家の中もずいぶんにぎやかだったのではないか、そんなことを思いながら立ち止まったのだった。