そのとき限りの気ままな号令で、動いている発電所まで止めっぱなしにしておいて、今頃になってサイカドーと慌てふためいている。
再稼動とは、将来廃止あるいは大改造の見込みがあって休止している設備を、またもとの設備のままで動かすこと、普通の言葉遣いならそうなるのだが。
定期検査が終わってさあ運転を始めようというなら通常の運転開始ではないか。
それを再稼動などと騒ぎたてれば、嫌だいやだがますます増えてくる。
かねてから原発反対を唱えてきた人たちは、わが人生に春が来たかのように、ただちに原発ゼロでも電力はまかなえるという数字を、これも勝手気ままに出してくる。
原油価格高騰のなかで経済性とは無関係に、発電可能電力だけを見た数字ならどうにでもなる。
各企業で省エネ機器を導入し、電力消費の大きい機器を排除すればなどと言いたてる人もいる。そういうものが握り飯でもつくって配るようにはいかないことがわかっていても。
電力会社がだめだからPPSで行こうという動きも、会社は50社あっても、その事業を実際に行っているのは26社と報じられている。
運営を税金でまかなう自治体ですら、入札応募がなかったり、予定価格を上回ってどうにもならなかったりで、なかなかうまくいかない。
止まっていれば安心というわけでもなく、かえって緊急の際の人間の対応力が運転中よりも落ちる原発を、絶対に嫌だと言い張って猛暑を過ごそうとするならば、どこに行くにも扇子持参で、大汗をかきながら我慢する覚悟がなければならないだろう。
原発も暑いのも嫌と言っていると、そのおかげで生産に電気がまわらず、必要なことにも使えず料金だけは上がるのに耐えかねて、倒産の憂き目にあう会社が増えてくるのではないか。
そんな情けない世の中のほうがよほど嫌だと思うのだが、いかがだろうか。