マイクには魔力がある。
それを突きつけられると何か言わなければならないと思ってしまう力である。
会話型で何かを問うよりも、マイクを突きつけると、言わせようとするほうも気が楽なのだ。
だから愚問も簡単に出せる。
「XXをどう思いますか」と社会常識上聞くものでないことも、オキラク質問の種になる。
愚問には愚答しか生まれようがないから、突きつけられたマイクに義理立てをしていらぬことを口走る。
「そういうことは聞くものではない」これが最上の回答なのだが、「なぜ」「言え」と続く半狂乱の罵倒の想像が先にたって、それに耐える自信がないと、言わないはずのことが口から出てしまう。
言わなかった反響よりも、下手なことを言ってしまった影響のほうがはるかに大きいことに、そのときは気づかない。
マイクを向けられる機会の多い人向けに、マイクの見えないメガネをつくったらどうだろうか。