老人の怪我でいちばん多いのは転ぶことです。
力士の怪我もいちばん多いのは転ぶことです。
しかし、老人が転ぶのは足が上がらずにつまづく場合が多く、力士は足が上がると転びます。
老人が転ぶには平らでない床がわざわいし、力士が転ぶ土俵は平らです。
力士は土俵の縁のたいらでないところに助けられて踏ん張ります。
老人は自分の体の外にあるものに邪魔されて転びますが、力士は自分の体に負けて支え切れずに転ぶのが目立ちます。
老人が転ばないためには足を上げる習慣がいり、力士が転ばないためには足を上げない稽古がいります。
ロボットが転ばないのは足をしっかりつけたまま歩くからでしょう。
力士の足がしっかり地について上がらないとき、頭の上に軍配が上がります。