野菜は収穫期で味が変わるという。
若い野菜には新鮮さがあると言われれば確かにそうだが、新鮮さはうまみの要素であってもすべてではないだろう。
新鮮野菜は美味い野菜、若い野菜はもっと美味い野菜という、これはひらめきが先走った味覚ではないのか。
近頃、ファストフードやスイーツの販売促進のために、これまでになかった新しい組み合わせの食べ物が数多く現れる。
新商品には見えても、組み合わせや見た目が変わっているだけで、とくに工夫の跡は見られない。
これまでの食べ方にこだわらないというだけのものである。
舌が驚いたり違和感を覚えたりすることを、新しい味の発見と思わせようというもので、それは調理、料理ではなく、食品加工の新手法である。
新しいと呼ばれるこの味たちは、舌を肥えさせるどころか麻痺させようとしている。
舌の麻痺した人々なら、目まぐるしさや騒々しさで引きつけることができる。
とにかく買ってもらえそう、それが第一の考え。
続けて買ってもらえなければ、また新しい手を考えればよい。
味は目と耳でとみなさんが言ってくれ、新しければTVが応援してくれるから。