原子燃料の最終処分場が完成しているところは、現在地球上に一箇所もありません。
ゴール地点を決めないうちにスターターがピストルを鳴らし、みな走り出してしまったのです。
北欧フィンランドでは、巨大な地下トンネルの建設が進み、ようやく7年後には搬入が始まる計画、これが世界初の原発使用済み燃料最終処分場です。
⇒ http://p.tl/dYvs
大昔に氷河で押し固められた強固な岩盤上にあるフィンランドでこそ、地下トンネルでなんとか間に合いそうな気もしますが、それでも地球という生きものが、これからどう態度を変えるか、予測はつきません。
アメリカでは、インデアンの聖地ユッカマンに処分場が作られようとしているそうですが、困り果てての神頼みのようでもあります。
日本では、高レベルの廃液をガラスで固め、300mよりも深い岩盤に埋めるという方法だけが決まっています。
地下深くならば、水の動きが緩やかで、活断層や火山を避ければ安全は十分確保されるという、90年代に研究機関が都合よくまとめた報告書が根拠になっているそうですが、その後、自信を持っていたはずの安全性の話が、大地震で覆されました。
売れている役者を使って、「必要だと思います」などと言わせていたウソくさいTV放送も、どうにも具合が悪くなってしまいました。
強固な岩盤で活断層のないところ、人が近づかずに済む広大な土地、そんな場所は日本にはどこにもありません。
核のごみは、人類共有の負の資産です。
爆弾の被害実験にまで使われた日本が、燃焼実験後のごみの始末まで引き受ける義理はないでしょう。
他国の土地へというわけにいかなければ、世界最深のマリアナ海溝に沈めるか、地球外の反動の及ばないところまで追い出すしかありません。
踏み切り前で一時停止しても、そこは下車できない場所なのです。