時間は普通数字で表されます。
半時、小半時などという言葉も、時代ものの小説のなかでしか使われなくなりました。
とかく数字を使いたがるこの世ですが、数字の意味が、見聞きする側に状況を直接訴えかけない場合もあります。
単位を変えると大きな値が急に千分の一になり、事の重大さをぼやかしてしまうことさえあります。
ある事件で、電話で安否を確かめてから20分経った後の殺人が、電話の直後に起こったと報じられました。
このときは、どういうわけか数字が嫌われました。
甘すぎしつこすぎの男女のもつれごとよりも、20分経過後を直後と簡単に言い換えたそのことの意味が、なぜかいちばん気にかかっています。