偽称メニュで損害を与えてしまった方には、代金をお返ししますと、まじめくさって言いながらTVに映る役目の人は、全くお気の毒です。
お金を返せと頑張る人は、エビの違いを舌で感じ取れなかった人たちではないかと思います。
その場で味わったのは、滅多にないと思われている銘柄のものが口に入ったという優越感と、それが割安に経験できたという満足感でしょう。エビの味がクルマのものであろうと、それとは違っていようと、そんなことは問題にしてなかったのです。
食べてしまって、ああ美味しかったと言ってから、味が違ったお金を返せという論法は、おそらく通用しません。
返せというのは、得意になってひとに食べさせた、間違えさせられた、恥をかいた、名誉を傷つけられた、それを何とかしろという思いからでしょう。
しかし、あのことで傷を受けた名誉は、得意顔をしていた奥様のものだけではありません。日本人の倫理観はその程度のものかという、外からの国際感覚のほうが、はるかに大きな傷を受けているのです。
大嘘を平気で言いまくる国の人は、まあわれわれと同じようなものと思うでしょう。
むしろ人を騙すことを知らずに生活しているまっとうな民族の人たちにこそ、与えた影響が大きいのです。幸いそういう人たちには、日本のTV報道が届いてないかもしれません。しかし、天がそれを知っています。いつかはその話が伝わります。
メニュ表示は大体うそと思って入ればよいとか、メニュはなんでも「それ風」と読み取っておけばよいとか、珍説を振りまく大人気取りの先生もいらっしゃいます。
騙すことをなんとも思わない社会に、融け込むだけに気をとられて、人の心の持ち方を法に照らしてしか考えないように、固定バイヤスがかかってしまっているのでしょうか。
メニュは、お店の看板の裏書きです。いや、いちいち看板のつらを確かめてから店に入るのでないお得意さまには、メニュこそ表看板です。
メニュはもっとまじめに書きましょう。