散歩の道すがらふと目にとまる、それらに時代を感じさせるものがときどきあります。
目にとまる寸前に、見つけようと思っていたのかどうかは、自分のことでもわかりません。
そういうものは、たいがい歩く足元の周辺に現れます。
上空にはないにしても、足元だからたくさんあるというわけでもなさそうなのに、足元近くに現れやすい理由は、わかりきったこと、歩くときに視線の及ぶ範囲は下のほうが多いからです。
つまづきそうな邪魔物、踏み外しそうな段差がないかという注意が、どうしても視線の中心を前下方に向けます。
視線です。目線ではありません。
いま、わざわざこんな材料を使って、コンクリートブロックを作ることはしないでしょう。
こういうもので間に合わせたという、作った時代が見えてくるような気がします。
せかせかとあとを追っているどこかの国では、ことによると、建造物のコンクリートにも、いま、これに似た材料が使われているかもしれません。
鉄筋でなく、長い竹の棒をコンクリートで固めてビルの柱を建てていたのを、実際にこの目で見た国でした。
そこでは、時代は足元にではなく、バスの窓からは、見上げても上端が見えないほど空に向かって伸びていたのでした。