櫃飯のような食器にご飯を入れて出すレストランがあります。
食べにくいのに閉口、というほどのことはなくても、やはり食べにくく、お櫃の縮小形がご飯のいれものになったようなこの食器では、お櫃からじかに食べている感じがして、ご飯の味も変わってしまいます。
中身が少なくなったときの箸の持って行きようが、ご飯茶わんのようにはいかないからです。
糸底がないので支え勝手も違い、かと言って周りを鷲掴みにするのも不細工で、これも困ります。
これには桶飯器という名前まで付いています。
入っているのはオケメシ、空になったらカラオケ、ぶん投げなければひっくりかえらないこの形は、やはり宴会用なのでしょう。
ものの食べ方と食器の形は、両方から歩み寄って、だんだんちょうどよい関係が出来上がったのだと思います。
食器を作ること、たくさんの膳に一度に出すこと、洗って片づけること、このことに効率優先の知恵が働き過ぎると、食べる人を当惑させることになります。
食事のとき、食器をもち上げずにテーブルに置いたまま食べる習慣の国でなら、この形はちょうどよいかもしれません。
食器の形に食べ方を合わせるのは、逆のような気がしますが、いかがでしょうか。