航空法が昭和29年に施行されるまでは、飛行機が町の上空にきてビラを撒くことがありました。
「おっちゃん、ビラまいてー」と、こどもたちは飛行機に向かって声を張り上げました。
撒かれたものを拾えたことが幸運に感じられれば、何かを撒かれて悪い気はしません。
善良な人々は、空からひどいものが撒かれることなど思ってもみませんでした。
大きな建物も吹き飛ばす爆弾、家も樹も人までも焼き尽くす焼夷弾、町ごと熔解させてしまう原子爆弾、それがやってきた飛行機から落とされたのは、第二次世界大戦末期のわずかの間だけでした。
日本の空から超危険物が落とされなくなって間もなく、ばら撒かれたのが米国製民主主義の種です。
まいたほうは、その種が発芽して育つよう、蒔いたつもりでいたのでしょう。
人間のすることは、腹づもりと、言うこと書くことが一致しない場合が多いので、蒔かれた種にどういう期待が込められていたのかはわかりません。
教え込まれたとおりなのだからという常識メガネでは、種蒔きのこころがはっきり見えてくることはないでしょう。