奥様方が集まったところで、「テレビは半分ウソです」と言うと、みな目を丸くして、「ウソでしょう」と言いたげに顔を見合わせます。
たしかにテレビでは世界中のこと、ときには世界の外のことまで、いろいろ知識を与えてくれます。
ひとつ言えることは、テレビは見せるために作られたもの、これはウソではありません。
番組には、また見る気になるように、真偽とりまぜた工夫が凝らされます。
いったん上手に作られたものを見てしまうと、そうっだたのかという錯覚がそのまま記憶に残ります。
真実に見え、信じてしまったウソの皮はだんだん厚みを増し、剥がすことができなくなっていきます。
いちばん始末の悪い錯覚は、ウソのことでも何度も聞かされると、まともな本当のことのように思い込んでしまうので、それを狙って何かが仕掛けられると、大勢の人の思いがだんだんその方向に引き寄せられ、それが民意と名づけられた化け物に育っていくことです。