悲願の開業に沸く地元の方々ですが、これからを考えるとかなり厳しいのではとオヤジも思います。
函館はあくまでもかつての北海道の玄関口。入口でしかありません。
新幹線と在来線を乗り継いで札幌方面まで行こうという方がどれくらいいるのかは疑問です。
そして記事にもあるとおり、路線は札幌延伸前提ですから新函館北斗駅は函館からはかなり離れたお隣り町の北斗市にあります。
実は函館空港の方が断然函館市街地に近くて便利なのが現実です。
函館市が28万人足らず、道南エリアでも46万人ほどの人口です。
46万人というと昨年開通した北陸新幹線の現在の終点の金沢市と同じくらいです。
沿線人口を考えると地元利用やビジネス客ではなく、観光客をどれだけ増やせるかにかかってきます。
北陸圏では10年ほど前の調査で約1千万人の観光客数でした。これは道南エリア全体での数とほぼ同じ規模のようです。
ただ、そこにはニセコなど函館から距離のある観光地も含まれており、函館エリアに限定するとその3割程度に止まります。
これから札幌延伸までの15年間をどう乗り切るのか。
開業すれば毎日列車は走ります。
10両編成が本当に必要なのかも、身近で九州新幹線を見ていると懸念を感じます。
新幹線は決してお客様を産み出す打ち出の小槌ではありません。
これからどのように利用客を増やしていくのか、鉄道事業者はJR北海道ですが沿線地域のチカラが本当に試される正念場になると思います。

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<北海道新幹線開業も前途多難 厳しい経営構造、地域の足にしわ寄せ>
ヤフーニュース SankeiBiz配信 http://headlines.yahoo.co.jp/ 2016年3月26日
1973年の整備計画決定から40年以上を経て北海道新幹線(新函館北斗-新青森、約149キロ)が26日開業する。函館ではホテルの改装・新設など観光客の増加を見越した投資が相次ぎ、道内への経済波及効果は年間136億円に上る見込み。道民はひとかたならぬ期待を寄せる。一方、運行を担うJR北海道の経営は前途多難だ。開業後3年間の新幹線の収支予想は毎年48億円の赤字。ただでさえ赤字続きの在来線は開業に合わせ大幅に減便するなど、“地域の足”にしわ寄せが及び始めている。
「訪日観光客の増加に新幹線効果の追い風も加わり、確実な宿泊需要が見込める」と期待を話すのは、ホテル運営会社の札幌国際観光(札幌市)の担当者。函館港に面した4000平方メートルの用地を昨年9月に取得した。数年以内に大型ホテルを開業する計画。市内の湯の川温泉街などでも、今秋にかけて既存ホテルの改装や増築が相次ぐ。
夜景の名所、函館山ではロープウエーの待合室を600人収容と12倍に拡大。昨年8月には5000人収容の「函館アリーナ」が完成し、函館駅前では市街地再開発が進む。新幹線の終着駅となる新函館北斗(北海道北斗市)の周辺では、神戸物産が道南最大規模の大型ショッピングセンターを開業予定だ。
日本政策投資銀行北海道支店の試算によると、新幹線が道内にもたらす経済効果は年間136億円。首都圏などから道南への人の流れが13万人増え、宿泊や飲食といった直接効果が73億円、道内産業への間接効果も63億円に上る。石井啓一国土交通相は「移動時間の短縮によって、観光交流の活発化や地域経済の活性化に役立つだろう」と25日の閣議後会見で述べた。
ただ、新幹線の開業はJR北海道の経営には重荷となる。東京-新函館北斗の最短所要時間は4時間2分。空路より新幹線が優位に立つとされる“4時間の壁”を破れず、函館駅までは連絡列車に乗り継ぐ必要もあるため、想定乗車率はわずか26%にすぎない。島田修社長は「予約率の引き上げに全力を挙げたい」と力を込めるが、開通から30年を経た青函トンネルの維持費や除雪費ものしかかり、開業後3年間は毎年48億円の赤字を見込む。
人口密度が低い北の大地に2450キロの路線を延ばす同社の鉄道事業は、もともと毎年400億円規模の営業赤字が続く。国鉄分割民営化の際に設けられた経営安定基金の運用益で赤字を補填(ほてん)する厳しい経営構造だ。そこに新幹線の負担も加わることから、経費削減を狙ったローカル線の整理が進行する。26日のダイヤ改正に合わせ、普通列車全体の7%に当たる79本を減便し、利用が少ない8駅も廃止。100円稼ぐために4161円かかる計算の留萌線留萌-増毛間(約17キロ)は、2016年度中にも廃止するという。新幹線の開業が、公共交通網の「選択と集中」を加速させている形だ。
北海道新幹線(新青森-新函館北斗間、約149キロ)の現時点の総事業費は5508億円に上る。今後、東日本大震災後の資材価格高騰などを反映し約300億円増える見通し。ただ既存の青函トンネル(約54キロ)を活用したことで、他の新幹線に比べて大幅に抑えている。事業費は国が3分の2、地方自治体が3分の1を負担する。現在の事業費は2013年に国が認可した。だが建設主体の鉄道・運輸機構が震災による物価や人件費の上昇、消費税増税分などを考慮して改めて計算すると、5800億円程度となった。近く国に申請する。
それでも、昨年3月に延伸開業した北陸新幹線(長野-金沢間、約228キロ)は1兆7800億円。単純計算で北陸新幹線が1キロ当たり約78億円なのに対し、北海道新幹線は約37億円だ。国土交通省関係者は「もともと青函トンネルがあったのが大きい」と要因を説明する。とはいえ、30年度末の開業を目指す新函館北斗-札幌間(約211キロ)には北陸新幹線並みの約1兆6700億円が必要で、JR北海道には効果的な集客につながる運行が求められる。(山沢義徳、中村智隆)