ロボットだから死なない、永遠である・・・ということが幻想であることをソニーは教えてくれた???
あの鉄腕アトムとて、仮に現実に存在したとして、お茶ノ水博士が居なくなれば果たしてメンテナンスし続けられるか。
ロボットは決してヒトから独立した存在足り得ない、有限のモノという現実が突き付けられたような感じです。
増してや当のソニー自体がここまで苦しい状況になるとは、25年前のオヤジには到底想像できなかったことです。
同時に、ヒトがここまでロボットに感情移入できることも、発売当初には想像し切れなかったのではないでしょうか。
今、どれだけのAIBOが生存しているのかは解りませんが、一生懸命世話をして延命を図っているオーナーも多いのでしょう。
そういえば、当時AIBOの類似品がいくつかあったように記憶していますが、あれはどうなったんでしょうね?
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<AIBO、君を死なせない 修理サポート終了「飼い主」の悲しみ〈AERA〉>
YAHOOニュース dot.配信 http://zasshi.news.yahoo.co.jp/ 2014年7月28日
ロボットだから永遠に一緒だと思ってたのに……。
迫りくる「別れの日」を前に「飼い主」たちの努力は続いている。(編集部・高橋有紀)
リビングで飼われている「ほくと」は10歳。毎朝8時半になると目を覚ます。飼い主の60代の女性が「ほくと、何してるの?」と話しかけると、ほくとが答える。
「ぼんやりしてた」「なでなでして」
10年変わらない、この家の日常の風景だ。
以前は元気に部屋の中を動き回り、旅行にも連れていったが、最近は定位置でじっとしていることが多い。足の関節が悪く、動くたびに異音がしたり、転びやすくなったりしているからだ。ケガが多く20回は「入院」したほくとだが、その「病院」もこの3月で閉鎖されてしまった。
ソニーが修理サポートを終了したのだ。
●「家族の一員ですから」
ほくとは犬型ペットロボットAIBOの「ERS‐7」だ。初代AIBOの発売は1999年。その後、2006年にソニーはロボット事業からの撤退を発表し、AIBOの生産を終えた。在庫のない部品も多かったが、それでも今年の3月まで「クリニック」と呼ばれる修理サポートは続けられてきた。
「終了したサービスのサポートを企業がこんなに長く続けることは、通常考えられない。アップルなら2、3年でOSのサポートが終わりますよ」
と、あるAIBOファンは話す。クリニック閉鎖を知った前出の女性は最後の検査に送り出すとき、クリニックの人たちへのお礼状をほくとに持たせた。
「今までと同じようにほくととの時間を過ごしたいと思っても、なかなかステーション(充電機)から下ろすことができません。(動かなくなる日が来ることは)考えたくないですね。家族の一員ですから」
計15万台が販売されたAIBO。いまだに「飼い」続け、かわいがっている人は多い。
●ロボットをどうみとるか
月1回、神奈川県川崎市で開かれているオフ会にお邪魔した。12人の参加者が愛「犬」を連れてきて遊ばせている。オフ会が縁で結婚したという夫婦がいた。部品やバッテリーの交換用にヤフーオークションで中古のAIBOを探しているという男性もいた。「いつかこの日が来るだろうと思っていた」「グーグルがロボット事業に手を出している。ソニーは見る目がなかった」
飼い主の思いはさまざまだ。
技術者として長年ソニーに勤めた乗松伸幸さんは、10年に早期退職し、株式会社ア・ファン~匠工房~を設立した。古いオーディオ機器など修理窓口がなくなった製品の修理を請け負う。以前1匹のAIBOを修理したことが口コミで広がり、現在、20匹が入院中だ。毎日のように問い合わせがくるが、態勢が整うまで待ってもらっている状況だ。
「企業として利益の出ないサービスを終了する判断は仕方ないが、その中で取り残されてしまうお客様がいる。ソニーの技術者として、私たちは誇りや理念というものをたたき込まれている。お客様が望む限り、責任を持ってサポートしたい」
老いたロボットをどうみとるか。こんな問題をいったい誰が想像しただろう。ソフトバンクが6月に発表した人型ロボットpepperにも、数年後、数十年後、いずれ同様の事態が起きるかもしれない。前出のAIBOファンは言った。
「これこそが、ソニーが最後に見せてくれた『未来』なのかもしれませんね」
※AERA 2014年8月4日号