昨夕、麦廬園(マイルーユエン)から宿舎のある蛟僑(ジャオチャオ)キャンパスに向かってミニバスで移動中、4年の李さんが電話をかけてきた。
「先生、明日卒業写真を撮る日ですよね。先生、忙しいですよね。一緒に参加できますか。10時からです。」
「ええ?明日!?そりゃ、スピーチコンテストの特訓だけで授業はないけど…。」
「そうですよね。こんなギリギリに、本当に申し訳ないですよね。でも、記念だから…。」
彼女の会話には普通じゃない回数の「~よね。」が使われる。どこで覚えたものか、こういう微妙なニュアンスを伝える語末表現を間違って使われると、(うう~)と心で唸ってしまう。
それはそれとして、また寸前のお誘いだ。私は写真なんか大嫌いだ。断れない場合、しかたな~く苦笑いみたいな作り笑いを浮かべて撮られる。また、財大の学生達は異様なまで、写真を撮りたがるのだ。今回も、断れなかった。何しろ、写真好きの子たちが、一生で一回だけの写真を撮るのだ。付き合ってあげなくちゃ…。
せっかくの洗濯日和の今日、トホホ感覚で洗濯機を回しっぱなしにして麦廬園に向かった。昨日までの梅雨気候と打って変わって、真夏日。ベタベタの汗をかきながら朝8時半のスクールバスを待った。
バスを待つ人たちは列を作らない。植樹された椰子の木や建物の陰でバラバラに待っている。さあ、バスが来た、となると、ワラワラと昇降口に急ぐのだが、今日は私の前に妊娠婦人と杖をついて足を引きずっている男性がおり、その二人は「どうぞお先に。」と互いに譲り合っている。こういう譲り合いを見たのは、南昌に来てから、本当に数少ない。結局、女性がガンとして男性を先に乗せ、男性は激しく段差がある入り口ステップをゆっくりと登っていった。他の人もゆったりと待つ。子ども達にこういうところを見せるべきだと思う。ここ南昌郊外では、子どものマナーがなっていない。日本の子どももひどいが、南昌の子も絶対負けない。
しかし、特筆すべきことがある。ここ南昌では妊娠女性に座席を譲るのは大人同士では当たり前感覚のようで、その場面は日本以上の頻度で見かける(残念ながら、子どもが大人に席を譲るのは未だ見聞せず)。ここの大人の人たちは命をはぐくむ身体を大切にしているんだなあ、と思う。自分も含めて、日本の大人達はどうだろう。反省…。
9時前に、我が資料室に着き、夜の間に入り込んだ虫たち、夜自習の三年生たちが踏んづけた蚊、パラパラ落とした髪の毛を掃いた。よくこんな汚いまま帰ったもんだ。 その後モップがけをしようと部屋の隅に立てかけてある湿ったモップを取ると、かなり大きいムカデがボトッと落ちた。とにかく、宿舎と言い、この資料室と言い、虫の宝庫だ。さりげなくムカデを廊下の反対側まで掃きだし、インスタントコーヒーを淹れた。暑い日に熱いコーヒーで汗が噴出したが、仕方がない。
10時10分前に指定の広場に行った。何百人もの卒業生グループが、それぞれ同じデザイン、同じ色のTシャツを着て待っている。偶然、楼さんが通りかかったので、人混みのどの辺りに日本語学科4年グループがいるか、電話で聞いてもらった。広いから広場というのだが、こういうとき、しみじみ人数が多い国だと思う。
探してくれた場所に行くと、もはや懐かしい存在になったあの顔・この顔が最後のニコニコ笑顔をみせて立っていた。仕事をまた休んで来た子、1日から今日まで最後の寮生活を楽しんでいた子などが集合している。留年した李君もみんなの中でニコニコしている。写真は記念Tシャツの上にフクチャンの学帽と黒マントを羽織って撮った。日本語学科の老師たちもいつのまにか全員そろっている。
留年した子も一緒に撮るのは良いことだ。クラスメートはこのメンバーなんだから。
洗濯物に拘泥せず、写真嫌いをも曲げて来てあげてよかったな。はなむけだもんね。
「先生、明日卒業写真を撮る日ですよね。先生、忙しいですよね。一緒に参加できますか。10時からです。」
「ええ?明日!?そりゃ、スピーチコンテストの特訓だけで授業はないけど…。」
「そうですよね。こんなギリギリに、本当に申し訳ないですよね。でも、記念だから…。」
彼女の会話には普通じゃない回数の「~よね。」が使われる。どこで覚えたものか、こういう微妙なニュアンスを伝える語末表現を間違って使われると、(うう~)と心で唸ってしまう。
それはそれとして、また寸前のお誘いだ。私は写真なんか大嫌いだ。断れない場合、しかたな~く苦笑いみたいな作り笑いを浮かべて撮られる。また、財大の学生達は異様なまで、写真を撮りたがるのだ。今回も、断れなかった。何しろ、写真好きの子たちが、一生で一回だけの写真を撮るのだ。付き合ってあげなくちゃ…。
せっかくの洗濯日和の今日、トホホ感覚で洗濯機を回しっぱなしにして麦廬園に向かった。昨日までの梅雨気候と打って変わって、真夏日。ベタベタの汗をかきながら朝8時半のスクールバスを待った。
バスを待つ人たちは列を作らない。植樹された椰子の木や建物の陰でバラバラに待っている。さあ、バスが来た、となると、ワラワラと昇降口に急ぐのだが、今日は私の前に妊娠婦人と杖をついて足を引きずっている男性がおり、その二人は「どうぞお先に。」と互いに譲り合っている。こういう譲り合いを見たのは、南昌に来てから、本当に数少ない。結局、女性がガンとして男性を先に乗せ、男性は激しく段差がある入り口ステップをゆっくりと登っていった。他の人もゆったりと待つ。子ども達にこういうところを見せるべきだと思う。ここ南昌郊外では、子どものマナーがなっていない。日本の子どももひどいが、南昌の子も絶対負けない。
しかし、特筆すべきことがある。ここ南昌では妊娠女性に座席を譲るのは大人同士では当たり前感覚のようで、その場面は日本以上の頻度で見かける(残念ながら、子どもが大人に席を譲るのは未だ見聞せず)。ここの大人の人たちは命をはぐくむ身体を大切にしているんだなあ、と思う。自分も含めて、日本の大人達はどうだろう。反省…。
9時前に、我が資料室に着き、夜の間に入り込んだ虫たち、夜自習の三年生たちが踏んづけた蚊、パラパラ落とした髪の毛を掃いた。よくこんな汚いまま帰ったもんだ。 その後モップがけをしようと部屋の隅に立てかけてある湿ったモップを取ると、かなり大きいムカデがボトッと落ちた。とにかく、宿舎と言い、この資料室と言い、虫の宝庫だ。さりげなくムカデを廊下の反対側まで掃きだし、インスタントコーヒーを淹れた。暑い日に熱いコーヒーで汗が噴出したが、仕方がない。
10時10分前に指定の広場に行った。何百人もの卒業生グループが、それぞれ同じデザイン、同じ色のTシャツを着て待っている。偶然、楼さんが通りかかったので、人混みのどの辺りに日本語学科4年グループがいるか、電話で聞いてもらった。広いから広場というのだが、こういうとき、しみじみ人数が多い国だと思う。
探してくれた場所に行くと、もはや懐かしい存在になったあの顔・この顔が最後のニコニコ笑顔をみせて立っていた。仕事をまた休んで来た子、1日から今日まで最後の寮生活を楽しんでいた子などが集合している。留年した李君もみんなの中でニコニコしている。写真は記念Tシャツの上にフクチャンの学帽と黒マントを羽織って撮った。日本語学科の老師たちもいつのまにか全員そろっている。
留年した子も一緒に撮るのは良いことだ。クラスメートはこのメンバーなんだから。
洗濯物に拘泥せず、写真嫌いをも曲げて来てあげてよかったな。はなむけだもんね。