毎日がちょっとぼうけん

日本に戻り、晴耕雨読の日々を綴ります

豪華大パーティー   2011年6月24日(金) No.157

2011-06-24 23:50:20 | 中国事情
 陳さんは顔が広い。昨夜遅く電話があった。今日夕方、南昌市郊外でお金持ちのパーティーがあるので、一緒に行きませんかというものだった。別荘を買う人たちが集まる豪華な大パーティーだそうだ。金持ちのパーティーとは全く無縁で生きて来たし、そのことを清々しいと感じる私だが、ここ南昌では何でも見聞しようと思っている。それに豪華パーティーとなると、どれほどご馳走が出るだろうと期待感が膨らんだ。

 今日のメインイベントのパーティーの前に、宿舎で布団を干した。掛布団2枚、敷き布団1枚。これで布団干しも三日目になり、ようやく黴臭さが薄らいできた。できたら敷布団をカプセル式シャワールームで洗いたい。狭いが何とかなる気がする。これは天気予報を見ながら、数日好天が続く日に実行しようと思う。
 布団をベランダにベラベラ広げていると、鳥たちが警戒して寄り付かない。しかし、数時間後にふとベランダの外を見るとパンくずはひとっつも残っていない。いつの間に…。

 夕方、迎えに来たのは陳さんと、陳さんが日本語を教えている小学生の胡哲ふん(土へんに申)君だ。両親が6時ごろ迎えに来るまで、宿舎で待機した。お父さんの方針で小学校に一度も行ったことがなく、英語と日本語の英才?教育を受けている12歳の彼は、「ドラえもん」の大ファンだ。「のび太」の中国名は「大雄」(ダーション)、ドラえもんはそのままの時もあるし、「机器猫」(ジーチーマオ)と呼ばれたりもする、と解説してくれた。それは以前大阪でも青木先生の中国語会話で教えてもらったことがあり、(そうだった、そうだった)と懐かしく思い出した。胡君の態度を見ていると、非常に日本の今の小学生の雰囲気に近い。のびのびしているとも言えるが、ズバリ行儀が悪い。人の家に来て、うろうろ歩き回るし、ソファーに寝転がったりしている。陳さんが、時々たしなめると、その時だけ、「はい、兄さん。」といい返事をする。お金持ちで寛大な両親の庇護の下なのはいいといて、躾をされていないのはダメだ。人間はサルや牛じゃないんだから。

 さて、迎えに来たご両親の車で、パーティー会場に向かった。車はニッサンだ。お父さんが運転し、私は助手席に乗った。お父さんはチックのような症状を呈していた。中国でも金持ちだとこうなるのか、気苦労が多いのかな、とか心中考えていた。
40分ほどで会場についた。南昌市内から少し離れた青山湖のほとりの別荘地らしかった。道路も整備され、日本の広い道の幅と同じくらいで、人工的にすっきり整えられた感じがした。
しかし、車から降りたところは工事がまだ進展中で、舗装じゃなく段差だらけのでこぼこ道だ。可笑しいことに、そのでこぼこ道から会場までレッドカーペットが数十メートルの長さで敷き詰められ、何人ものパーティー嬢が美しいドレスに身を包み、そこここでぶらぶらしていた。
更に、会場のビル入り口前には2組の男女が全身を金色に塗りたくり、微動だにせず立っている。衣装、日傘なども全部金色。以前シアトルで、微動だにしない銀色人間が、コイン1つを箱に入れると、突然ねじまき人形のように跳び跳ねるというのをよく見かけた。それにそっくりだが、お金を入れる箱もなく、2組は始めから終りまで動かなかった。
 行って初めて分かったが、今日の催しは新車と別荘販売のキャンペーンだったのだ。新車の前には西欧系のキャンペーンガールがポーズをとり、撮影会さながら。後で、その中の一人と話をしたら、何と彼女はブルガリアから湖北省武漢に来ている留学生だったのだ。ほかの西欧系はみんなロシア人だった。車と美女のセットを演出するのに、いろんな省から外国人の美人留学生を一日だけ呼びつけているのだ。たぶん高額のバイト料だろう。ブルガリア人の彼女は、屈託なく「中国の歴史を学びに来たんですが、先生の発音が聞き取れなくて~。困っています。」なんて愚痴を言っていた。


 さて、全体を短く言うと、どうしようもなくつまらなかった。期待したご馳走は、新車のショーや別荘の説明が終わるまでお預け、ようやく8時過ぎに食べられるようになったので、行ってみると、あるのはケーキが何種類かとスイカ、メロンの切ったのやドリンクだけ。陳さんがしきりに恐縮して「先生、こういう会だとは思っていませんでした。期待はずれでした。」とぼやく。
 午前中に、(中国のご馳走もちょっと食べ飽きたなあ)なんて思ったのもつかの間、おいしい菜を食べられなかった私は、冷蔵庫に何が残っていたかを眉根をしかめつつ考えていた。でも、ケーキの味はとてもおいしかったけどね。
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急に夏    2011年6月23日(木)  No.156

2011-06-24 00:40:25 | 中国事情

  三日ぐらい前までは、毎日雨ばかり降っていた。それが、突然35℃や36℃の真夏日だ。宿舎の中は外に比べてひんやりしている。しかし、閉め切っているのも黴が生えそうな気がして、つい窓を開けて換気する。すると熱風が吹きこんでくるのだ。ここ数日、昼過ぎには眠たくなって固いソファーで昼寝している。「昼寝」というより、「気が遠くなる」と言った方が正確だ。本を読んでいると、いつの間にか気を失っているのだ。ハッと目覚めても10分ぐらいしか経っていない。そこでまたウトウトして一時間や二時間が過ぎる。起きたら、汗でベッタリなので、水シャワーをする。ここ三日ばかりそうして過ごした。

 今日もそうして終わるかと思いきや、自分で自分を叱咤して急きょ、夕方6時前に外に出た。明後日、市内に行かねばならない。日本語教師の先輩たちが仕事を終えて日本に帰国するので、送別会を開くのだ。予約してくれたのが市内の八一広場の傍の店ということで、一本で行ける232番が通るバス停まで何分かかるか下見に行ったのだ。キャンパスの南門まで5分強。キャンパス内と言っても、職員のアパートも学生の寮も林立しているので、キャンパスを歩く人たちの年齢もバラバラ、おじいちゃん、おばあちゃん、若夫婦、一人っ子といった集団も散歩している。一人っ子は、大人4人に見守られ、当然のようにチヤホヤされている。(そんなにチヤホヤしていていいのか。しまいにわがまま放題になるぞ。)と心でつぶやき、その集団を追い越した。
 キャンパス南口を出て、「下露」(シャールー)のバス停に向かう。途中、ここ江西省に来て初めて、お母さんが激怒して幼子を怒鳴っているのを見た。しかも、同じ通りで2組も。やっぱり、暑さで気が立っているのだろうか。叱られていたのは2人ともイガグリ頭の男の子。口答えひとつせず、半泣きで我慢している。子供のそういう顔もなかなかいいものだ。「艱難汝を玉にす」という言葉もある。大人にチヤホヤされている子に冷ややかな視線を投げていた私としては、ビシバシ母さんの罵声を聞いて俄然楽しくなった。

 車道は車の往来が激しいが、歩道では大人の男の人たちが将棋盤を囲んで、遊んでいる。多くの男性が上半身裸。しかもその全てが小太りで、腹部の肉がズボンからはみ出している。太っているから暑いのだろうか。そしてどんなきれいな店でも、その前の歩道はゴミだらけ。せめて自分の店の前だけでも箒で掃けば、どんなに清潔になるだろう。ゴミを平気で散らかすのは見て楽しくない。一年近くたっても、これは慣れない。

 下露と思っていたところは、下露より一つ先のバス停だった。行き過ぎて引き返し、歩いていると、この暑いのにどうしてそんなに着込んでいるのか、妙な帽子と長袖の服をまとい、足だけは靴も履かず裸足の背の高い男の人が前を歩いていた。すれ違う人たちはしげしげと見て通る。そんなことにお構いなしで、どことなく案山子っぽい雰囲気のその人は、ゆったり私の前を進んでいく。ふと止まって何かチェックしていると思ったらゴミ箱だ。ゴミ箱の中に何があるというのだろう。食べ物が入っていたとしてもこの暑さでは、腐っているのが多いのに、そんなの食べておなかを壊すんじゃ…と思う。ついこの間、夜中に激しい下痢をしてトイレとベッドを往復したことを思い出した。

 帰りは、いつもの全家百貨で夏用枕、ビニールテープ、フック、スイカ、油腐乳(豆腐よう激辛バージョン)を買って帰った。宿舎を出てからほぼ一時間の散歩だった。

 

 

コメント (2)
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