昨日は、O先生、陳さんと7月はじめの九寨溝ツアーの相談。もともと出不精な私がこういうことをするには訳がある。3年生の陳さんが将来日本人向けの旅行会社を設立する夢を持っており、それにむけて日本語力を高め、ガイド試験を受け、と一生懸命考えているので、その一助になれば・・・と企画したものだ。
日本から誰か参加するのを期待したが、それぞれ忙しい生活を抱える人たちばかりで、反応は芳しくなかった。それに日本から南昌に来て、さらに四川省成都、そして九寨溝に行くとなると、各旅行会社のパッケージツアーに比べて、高額な出費となる。日本から九寨溝に行きたかったら、なんといってもパックツアーがお得だろう。
私たちは、成都まで飛行機で行き、市内で一泊して翌朝長距離バスで10時間かけて九寨溝の入口に行く。その日はそれで終り。翌日、一日かけて九寨溝のエメラルドグリーンに輝く池など見ながら、散策する。その後、黄龍に行こうかと思ったが、チベット族の少数民族の村を訪ねてそこで泊まることができそうなので、そちらにシフトした。そうしてまた成都に戻り南昌に戻ってくるのだが、てきぱき移動してもナント!最低五日はかかるという。四川省は広い・・・。
成都といえば、何といっても「三国志」の蜀の都で、劉備玄徳、諸葛亮孔明などの像が祀られた寺やらが一杯あるそうだ。その一つを写真で見たら諸葛孔明さんが、ピカピカでまん丸い大仏さんみたいだった。かなりイメージと違う。私の考える諸葛さんは、横山光輝の漫画に描かれたもので、金城武なんかが演じたら似合うかな、といった風の人だ。
陳さんの話によると、「三国志」の劉備は立派な人のように描かれているけど、史実はそうでもないとのこと。陳さんは大変な読書家で、小さい頃から家の手伝い=牛の放牧をしながら、谷で一人読書に浸っていたそうだ。大学に入り、日本語に初めて触れて2年目には、資料室の日本語の小説などを読み始めたという。
中国の子どもで「三国志」や「水滸伝」を読む子はまあまあいるが、老若男女に大人気の「紅楼夢」に比べると、読者層は狭まる。(さすが中国!)と思うのは、小学生でも「鋼鉄はいかに鍛えられたか」などを読むんだそうだ。学校の推薦図書に必ず入っているとのこと。私はそれが小説であることも知らなかったが、そのお話は、主人公のポールという人が、ソビエト委員かなにかで、共産主義活動に精魂傾け、失明してもなお共産主義国家建設を目指して邁進したというようなストーリーだそうだ。つい「そんな話、誰が読みたいかな。」と私が正直に言うと、楼さんが「私の最も好きな本です。」というので、楼さんのお金持ちっぽくてブランド志向の風情と革命家ポールのどこが重なるのか、不思議に思った。
きっと、今回も楽しい旅になると思う。もう一人、陳さんの日本語の教え子の小学生(12歳)も参加するかもしれない。小学生というのは正確ではない。その子は、親の方針で全く学校に通っていないのだ。彼のお父さんは中国の公教育が大嫌いで、息子は家で家庭教師などに勉強を教えてもらっている。5歳から英語を習い、今は完璧にペラペラで、親を連れてシンガポールやら旅行したりしているそうだ。中国にもいろいろな家庭があるものだ。でも、その家はお金持ちなのでそういうことが自由にできるのだろう。その家には外国人がよく遊びに来て、いつもインターナショナルな雰囲気が漂っていると陳さんが教えてくれた。陳さん自身、この夏休みは、狭くて暑くて地獄のような寮を離れ、その家で涼しく食事つきで暮らすという。しかし、その子が加わったら、本当に年齢バラバラのおもしろい構成になる。ガイド役の陳さんは、かなり疲れるだろうが。