今日6月12日、江西省の大学・専門学校で日本語を学ぶ全学生を対象に「江鈴杯スピーチコンテスト」が開催された。3年生の楼さんと私にとってはついに迎えた日と言える。何しろ、我々は五月の初めからこっち、かなりの時間をこのスピ・コンのために割いてきたのだ。彼女の進学に影響を与えるとあっては、私も気合いを入れて取り組まざるを得なかった。
昨日の昼過ぎ、「助さん・角さん」ならぬ、楼さん・郭さんが、例によって連れだって宿舎にやって来た。まるで海外旅行にでも行くように、ショッキングピンク色のキャリーバッグを引きずっている。郭さんはそれをここまで運ぶためだけに来たと言って、すぐ麦廬園に引き返した。我々は即席スピーチについての予想テーマを分析した後、タクシーで江西師範大学に向かった。さあ、やるしかない!
タクシーで45分ほど行ったところの江西師範大学は、とても静かで豪華な宿泊施設「白鹿会館」を備え、広くて緑豊かな落ち着いた雰囲気のキャンパスだった。いつも財大は広いと思っていたが、上には上があるものだ。この大学の広々感覚は日本で言うと、北海道大学っぽい感じかな。学生はこの広いキャンパス内を、自転車も使わず、みんな歩いて移動している。体に良い生活だ。空気も明らかに南昌北部の郊外より澄んでいる。
第六回目を迎えるこの江鈴杯スピーチコンテストの主催は、江西省対外友好協会だかで、江西師範大学外国語学部は共催、応援者として、江鈴五十鈴自動車株式会社、江西江鈴輸出入株式会社、華東師範大学出版社、NILSという顔ぶれだ。江西省の日本語スピーチコンテストとしては、最も権威があるらしい。今回は省下22校の各校から一人選ばれた選手たちが参加してきた。みんな、学校を代表する実力者揃いだ。遠くの大学から参加する選手は、引率の先生(ほとんど日本人の教師)とともに白鹿会館に宿泊する。楼さんと私もそうだ。
私は(昌北郊外から反対側の郊外まではるばるタクシーでやって来た)と思っていたのだが、続々と到着した日本人教師達は、「朝、贛州を8時に出て、6時間かかって南昌駅に着きました。」「私は井岡山から鈍行で4時間。」「景徳鎮から3時間。」「撫州から3時間。」「九江から3時間。」と、みんなすごい所からやって来たのだった。
これら教師達の何人かは、コンテストの審査員たちだ。その中に何故か、何のキャリアもないこの私まで交じってしまった。多分、新平老師、朱老師が推薦か何かしたのだと思う。楼さんにとって、私が審査員席に座っていれば少しでも心強いのでは?と思って引き受けたが、審査はもちろん公平にしなければならない。
しかし、そんなことを心掛けなくても、審査の得点計算は、(さすが中国!よく考えているなあ)と唸りたくなるものだった。審査員が故意に点を高くしたり低くしたりして、利益誘導するのを防ぐために、最高点と最低点をカットし、残りの合計の平均を得点とするのである。ずるいことをする審査員が当然いることを念頭に置いて決められた制度だ。これは今回のみならず、中国では一般的な計算方法だそうだ。理にかなった制度だと思う。
結果を言うと、楼さんは見事最優秀賞を得た。 本当に嬉しいことだ。他の参加者もみんな、一生懸命努力してきているのだ。その中から選ばれたのだから、値打ちがある。与えられたスピーチのテーマは「中日友好のために自分にできること」だった。彼女は日本料理を家族に作ってあげることで、日本に悪感情を持っていた妹や義兄の心を変えることができた経験をスピーチした。彼女の体験から出たわかりやすい内容と、本番に強い堂々たる態度が全審査員に認められたのだろう。
さらに、即席スピーチは、我々がシミュレーションを重ねてきたものに、ちょっと近いかな?というお題をくじで引いた。「震災・地震・洪水・天災・人災について思うこと」だ。シミュレーション「東日本大震災」で練習していたことを活かして、かなり自然に言えた。ラッキーだった。
最優秀賞の商品はシャープの電子辞書だった。彼女は迷わず、ボーイフレンドの郭さんにそれをプレゼントした。郭さんはずっと電子辞書が欲しかったのだが、彼女が郭さんのお金をたくさん使い込んだために買えなくなったという経過があったのだそうだ。楼さん自身は既に立派な電子辞書を持っている。アクセントも聞こえるので、私は時々指摘される…。
夕方、6時半から副専攻の科目の試験がある二人に便乗して帰った。見た目、全然タクシーじゃないのを嗅覚鋭い楼さんが見つけたのだ。郭さんは、携帯インターネットでタクシー会社の電話番号を探し、師範大キャンパスの途中まで来てもらっていたのだが、「あの~、スミマセン。もういいです~。」と言って断った。こういう時の郭さんは、本当に申し訳なさそうに言う。また反対側の郊外に向けて走るタクシーの中で、賞品の品定めをしたりして帰った。
そうそう、午後はスピーチコンテストの第二部として、「才芸コンテスト」というのもあった。これは面白かった。坂本冬美の「また君に恋してる」(どこの大学か忘れたが信じられないほど上手に歌う子だった)、爆笑コメディー「白雪姫」(贛南)、とんでもなくカッコイイダンス「イチゴわたあめ」(景徳鎮)、茶道実演(岡田先生の青年職業学院)、落語「皿屋敷」(ムラオカ先生の東華理工大学)、そして我が財大一年生の「南中ソーラン節」(これは、一月、私が老骨に鞭打って教えて上げたものを、彼らが自分たちで改良した作品)など、楽しかった~。財大一年生の「ソーラン節」も何と一等賞(最優秀賞の次の賞)を受賞した。いやはや、今日は嬉しい財大ラッキーDAYだ。疲れたけどね~。
昨日の昼過ぎ、「助さん・角さん」ならぬ、楼さん・郭さんが、例によって連れだって宿舎にやって来た。まるで海外旅行にでも行くように、ショッキングピンク色のキャリーバッグを引きずっている。郭さんはそれをここまで運ぶためだけに来たと言って、すぐ麦廬園に引き返した。我々は即席スピーチについての予想テーマを分析した後、タクシーで江西師範大学に向かった。さあ、やるしかない!
タクシーで45分ほど行ったところの江西師範大学は、とても静かで豪華な宿泊施設「白鹿会館」を備え、広くて緑豊かな落ち着いた雰囲気のキャンパスだった。いつも財大は広いと思っていたが、上には上があるものだ。この大学の広々感覚は日本で言うと、北海道大学っぽい感じかな。学生はこの広いキャンパス内を、自転車も使わず、みんな歩いて移動している。体に良い生活だ。空気も明らかに南昌北部の郊外より澄んでいる。
第六回目を迎えるこの江鈴杯スピーチコンテストの主催は、江西省対外友好協会だかで、江西師範大学外国語学部は共催、応援者として、江鈴五十鈴自動車株式会社、江西江鈴輸出入株式会社、華東師範大学出版社、NILSという顔ぶれだ。江西省の日本語スピーチコンテストとしては、最も権威があるらしい。今回は省下22校の各校から一人選ばれた選手たちが参加してきた。みんな、学校を代表する実力者揃いだ。遠くの大学から参加する選手は、引率の先生(ほとんど日本人の教師)とともに白鹿会館に宿泊する。楼さんと私もそうだ。
私は(昌北郊外から反対側の郊外まではるばるタクシーでやって来た)と思っていたのだが、続々と到着した日本人教師達は、「朝、贛州を8時に出て、6時間かかって南昌駅に着きました。」「私は井岡山から鈍行で4時間。」「景徳鎮から3時間。」「撫州から3時間。」「九江から3時間。」と、みんなすごい所からやって来たのだった。
これら教師達の何人かは、コンテストの審査員たちだ。その中に何故か、何のキャリアもないこの私まで交じってしまった。多分、新平老師、朱老師が推薦か何かしたのだと思う。楼さんにとって、私が審査員席に座っていれば少しでも心強いのでは?と思って引き受けたが、審査はもちろん公平にしなければならない。
しかし、そんなことを心掛けなくても、審査の得点計算は、(さすが中国!よく考えているなあ)と唸りたくなるものだった。審査員が故意に点を高くしたり低くしたりして、利益誘導するのを防ぐために、最高点と最低点をカットし、残りの合計の平均を得点とするのである。ずるいことをする審査員が当然いることを念頭に置いて決められた制度だ。これは今回のみならず、中国では一般的な計算方法だそうだ。理にかなった制度だと思う。
結果を言うと、楼さんは見事最優秀賞を得た。 本当に嬉しいことだ。他の参加者もみんな、一生懸命努力してきているのだ。その中から選ばれたのだから、値打ちがある。与えられたスピーチのテーマは「中日友好のために自分にできること」だった。彼女は日本料理を家族に作ってあげることで、日本に悪感情を持っていた妹や義兄の心を変えることができた経験をスピーチした。彼女の体験から出たわかりやすい内容と、本番に強い堂々たる態度が全審査員に認められたのだろう。
さらに、即席スピーチは、我々がシミュレーションを重ねてきたものに、ちょっと近いかな?というお題をくじで引いた。「震災・地震・洪水・天災・人災について思うこと」だ。シミュレーション「東日本大震災」で練習していたことを活かして、かなり自然に言えた。ラッキーだった。
最優秀賞の商品はシャープの電子辞書だった。彼女は迷わず、ボーイフレンドの郭さんにそれをプレゼントした。郭さんはずっと電子辞書が欲しかったのだが、彼女が郭さんのお金をたくさん使い込んだために買えなくなったという経過があったのだそうだ。楼さん自身は既に立派な電子辞書を持っている。アクセントも聞こえるので、私は時々指摘される…。
夕方、6時半から副専攻の科目の試験がある二人に便乗して帰った。見た目、全然タクシーじゃないのを嗅覚鋭い楼さんが見つけたのだ。郭さんは、携帯インターネットでタクシー会社の電話番号を探し、師範大キャンパスの途中まで来てもらっていたのだが、「あの~、スミマセン。もういいです~。」と言って断った。こういう時の郭さんは、本当に申し訳なさそうに言う。また反対側の郊外に向けて走るタクシーの中で、賞品の品定めをしたりして帰った。
そうそう、午後はスピーチコンテストの第二部として、「才芸コンテスト」というのもあった。これは面白かった。坂本冬美の「また君に恋してる」(どこの大学か忘れたが信じられないほど上手に歌う子だった)、爆笑コメディー「白雪姫」(贛南)、とんでもなくカッコイイダンス「イチゴわたあめ」(景徳鎮)、茶道実演(岡田先生の青年職業学院)、落語「皿屋敷」(ムラオカ先生の東華理工大学)、そして我が財大一年生の「南中ソーラン節」(これは、一月、私が老骨に鞭打って教えて上げたものを、彼らが自分たちで改良した作品)など、楽しかった~。財大一年生の「ソーラン節」も何と一等賞(最優秀賞の次の賞)を受賞した。いやはや、今日は嬉しい財大ラッキーDAYだ。疲れたけどね~。