怒りは簡単に憎しみに転化する。
イスラエル人を憎まずに、きっちり徹底的に怒ることに徹したい。
イスラエル人という特殊な民族だからガザ大虐殺をしたのではない。
何がその人の思考を支配するかによって、
どこの国の誰でも「殺せ!皆殺せ!」と叫ぶ可能性はある。
それは日本の歴史が、そして今の日本社会が示している。
憎むべきは人ではない。憎しみを煽る思想やムードだ。
さて、大阪生まれの22歳の若者が憎しみの連鎖をストップさせるために
一生懸命智慧を出してがんばった。
「日中韓HAPPY」(You Tube動画:中国では工夫しないと見られないのが残念!)
がそれだ。
(冨田すみれ子さん=斎川瞳撮影;毎日新聞)
そもそも、日常生活で誰かを憎みながら暮らすなんてことが異常だし、ハッピイじゃない。
歯が浮くような言葉でちょっと言いづらいが、
「自分はなかなかいいぞ。愛すべきいい人だぞ」
と思おう。口に出してもみよう。
自分もいい人だ。そして、あの人も、この人も…。
取りあえず、自分を閉ざすのはやめよう。
動画「日中韓HAPPY」へのアクセスは世界中から13万8000回を上回ったという。
――――――――毎日新聞 2014年08月28日 06時30分
HAPPY動画:日本と韓国、中国の若者が笑い踊る姿人気
特定の民族や人種などに対する差別をあおるヘイトスピーチ(憎悪表現)にストップをかけようと、国同士の関係がきしむ日本と韓国、中国の若者が笑顔で踊り継ぐ動画「日中韓HAPPY」を立命館大文学部4年、冨田(とみた)すみれ子さん(22)が製作した。
動画投稿サイト「ユーチューブ」に7月にアップすると、アクセス数は既に13万8000回を突破。世界から注目が集まっている。
動画は、米国の音楽プロデューサー、ファレル・ウィリアムス(Pharrell Williams)のヒット曲で、人々が笑顔で踊るミュージックビデオで知られる「HAPPY」をカバーしたもの。
世界各地で数多くのご当地HAPPYが製作されている。
大阪で生まれ育った冨田さんは、小さい頃から在日コリアンの友達が多かった。
昨年以降、コリアンタウンの鶴橋や梅田駅前で在日コリアンらへのヘイトスピーチを見かけるようになり、「朝鮮人を殺せ」などと叫ぶ姿に怒りと悲しみがこみ上げてきたという。
そんな時、インターネットで「HAPPY」に出会った。福島バージョンでは、東京電力福島第1原発事故に苦しみながらも、笑顔で懸命に踊る被災者の姿に、たくましさや生きる希望を感じた。
国同士が良好な関係にあるとはいえない日中韓の若者が仲良く踊る姿を広めれば、差別や憎しみにあふれたヘイトスピーチもなくなるかもしれない。そう思った。
「一緒にHAPPYを作ろう」。
今年5月末ごろ、大学に通う日中韓の学生に声をかけた。
断られるかと不安だったが、ほとんどの学生が快諾してくれた。
照れくさそうに即興で踊ったり、浴衣やチャイナドレス、チマチョゴリで登場したりする学生も。
海外で暮らす中韓の友達にも動画を送ってもらい、1カ月半で約100人分の動画を集めた。
楽しく踊ることに国籍や人種は関係ないと伝えるため、3分55秒の動画の中に国旗やテロップは一切登場しない。
当初は、動画のコメント欄に「ふざけるな」「日本から出て行け」といった批判も届いたが、一方で「勇気づけられた」「wonderful(素晴らしい)」というメッセージも世界中から届いた。
動画の製作後、友人の間でもヘイトスピーチや日中韓問題を語り合う機会が増えた。
「問題意識を持ってくれたことがうれしい。簡単ではないけれど、一人一人が人間として認め合い、語り合うことができれば、きっといい未来につながっていく」。
そう信じている。【斎川瞳】
――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――