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Brugge Style
おばちゃん
ここ1年ほど、シャネルの服を避けている。
なぜならシャネルは、ショーのモデルのような体型で着てかわいいのはもちろんだが、平凡なおばちゃん体型も驚くほどうまくカバーしてくれる服だからだ。
心身ともに自分を甘やかし、余生すべての時間をおばちゃんとして生きるのはあまりにも残念なので、もっと体型や姿勢に気をつけ、時にやせ我慢しなければ着られない服を着ようと思っているのである。
わたしの中ではイタリアの服の方が緊張を強いられる感じがするのだがどうだろう。
ところでおばちゃんたちは非常に愛すべき人たちである。
わたしだって24時間常におばちゃんでいたくはないが、仲のいい友だちとしゃべっている時などにおばちゃん化するのは醍醐味がある。
おばちゃんって、どういう人たちか。
彼女らは「敢えてしない」という余裕のない人たち、である。
例えば、実行したとしてもそのことを誰からも咎められることはない行為を、羞恥心や自尊心や虚栄心や名誉心やらに制御されて、「やっぱりみっともないからやめとこ」と寸止めせず、
「ええやん、べつに」
と敢えてしてしまう域に達してしまった人たちのことである。
もしくは世の中の人間のすべての行動には「敢えてしない」というラインがあるということを気の毒なことにずっと知らないまま生きてきたか、若いときに置いて来てしまった人たちのことである。
だから電車の中でお化粧をする若いお嬢さんの行為もおばちゃんっぽいし、学校の式典に(たとえそれが若々しくおしゃれでも)ジーンズで参加する人もおばちゃんぽいし、わたしのように他人の行動に対してグダグダ注文をつけたがるのも非常におばちゃんぽい。人のことは笑顔で無言で放っとけよ(笑)。
おばちゃん方式にいい面があるとしたら、生きぬくのに効率がいい場合があることと、他人に適応できたら人間味のあるやさしい対応となる可能性もあることかな。
とにかく、中年になって、シャネルを着るなら今よりもシャープな体型と禁欲で着たいわけです。
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