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教会の人




昼前、バプテスト教会から人がやって来た。

「教会がこの街でこんなことをすればいいのに、というアイデアがあればぜひ教えて頂きたい」
初老の知的そうな男性2人組がにこにこ愛想よく言った。

ふむ、いきなり独善的な話を切り出すよりもスマートな話の始め方である。


わが家は1年ほど前に外国から越して来たばかりで地元のことをよく知っているわけではない、だから今のところは何も思いつかないと答えたら(もし、街の中心に花を植えたり植樹をしたりしてはどうかなど何かを提案したらどうなるのだろう。フローチャート式マニュアルなんかがあるのだろうか)、もちろん世間話になり、英国の生活はどうか、ここでの生活が気に入っているか、ベルギーや日本と違うのはどういうところか、と聞かれた。


わたしも年齢と外見は大人なので、こういう時はバカ正直に「習い事などエクストラの教育にカネがかかりすぎるのが不公平で憤りを感じる」とか「飯がまずくて耐えられない。ベルギーのおいしいパンを食べたい」「街並がつまらない」などとは言わない。相手を見て本心を言わず、礼儀正しくして余計なトラブルを避けることこそがマナーの真髄である。

だから英国の生活はどうかと質問されたら「今年の夏はお天気がさえなかったのを残念に思いますわ。美しい自然を十分楽しめなくて」と必ず「天気」を言うことにしている。このフレーズは一年中しかも毎年使えるし、英国人は天気に対する批判はとても同情的に聞いてくれるのである。
続けて「そう申しましても、ベルギーのお天気もあまり変わりはありませんわね。おほほほほ」と補足するととても満足そうに笑ってくれる。

たまにはもっとほめておこう。
わたしは安全で環境も良い神戸山手やブルージュから来たので特別なこととは思わないが、今住んでいる街の安全面や環境の良さも非常にいい。公共エリアも清潔だし、出会う人はみな穏やかで親切で丁寧でとても感じがいい。




教会の人はとても人が良さそうで世間話が好きそうに見える。
外国暮らしで時々気が弱くなると「教会に行こうか」と思うことがある(うちは信者の家庭ではないが、子どもは幼稚園から中学校に上がるまでずっと日曜学校へ通わされ、家に神父様が親しく出入りされ、学校もキリスト教系女子校だった)。人間、どこかに所属があり役割があることが精神の健康を保つのに最重要事項なのである。宗教が繁盛するはずだ。

ベルギーでも一度出来心で「聖書勉強会」へ出席したことがある。しかし何がいけなかったのか二度とお声をかけてもらえなかった。どなたでもウエルカムとおっしゃっていたのに不思議だ(笑)。

あのとき「相手を見て本心を言わず、礼儀正しくして余計なトラブルを避ける」努力をしたっけ?と時々思い出してみたりするのである。
友だちには「まためっちゃ華麗な格好で行って華麗にしゃべったんとちゃうん?」と指摘され、サドカイ派的態度が反感を買ったのだろうか、とか(笑)。

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