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Brugge Style
monet & architecture
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どちらかというと印象派とモネの作品自体は好きな部類には入らないのだが、芸術作品の持つ時代背景にはとてもとてーも興味がある。
特に英国に住むようになってから、キュレーション(情報を収集、整理、要約、公開(共有)すること)の方法がおもしろいと思うようになり、モネの膨大な作品のなかから「建築」に焦点を当てるという展覧会の着眼点に好奇心を刺激され行ってきた。
やはりまずはこれだけの展示物を世界中から集めてくるという学芸員の手腕に目を丸くさせられた。
75点の作品は、モネが2人目のパートナー、アリスを亡くすまで(以後は彼はほとんどジベルニーの庭に専念)に製作した建築物込みの作品が、場所と対象ごとに集められて展示されている。
最後の建築はヴェネツィアだった。
ヴェネツィアのサンマルコ広場に建つドゥカーレ宮殿のファサードを眺めながら(ファサードは口を開けた怪物のように見える)、オーディオガイドの説明がはっきち腑に落ちた。
曰く、「モネは建物を光を描くための巨大なスクリーンとして扱った」
今まであまり好きではなかった「巨匠」モネにとうとう少し歩み寄れたような気がして感動しながらギャラリーを後にした。
外に出たら、一日中灰色だったロンドンの空から、雲を斬りこむようにして5月の光がトラファルガー広場に注いでいた。ナショナル・ギャラリーの白っぽい壁はまばゆい光を反射して銀色のグラデーションに輝いていた。
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