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the sleeping beauty@english national ballet








イングリッシュ・ナショナル・バレエの「眠れる森の美女」、今季はケネス・マクミラン(Kenneth MacMillan)のバージョンで、ロンドンのオープニングナイトへ行って来た。

オーロラ姫はアリーナ・コジョカル(Alina Cojocaru)。


特に衣装はとても美しく、舞台装置もきれいなのだが、あのお話に欠かせない豪華さに欠ける。舞台がスカスカ...なのが気になってしょうがなかった。

アリーナ・コジョカルは相変わらず舞台に登場するとその場の雰囲気が一瞬にして変わる華があり、はっとさせられる瞬間が何か所もあった。特に彼女はひとつひとつの動きに対応する呼吸が長い、と言えばいいのだろうか、すばらしい。

しかし、わたしが持っている昔のDVD(ロイヤル・バレエの頃の同じくマクミラン版。ユーチューブにも上がっているのでぜひこのローズ・アダージョを!)に比べると踊りが非常にシンプル化されており、複雑で難しいエクストラな動きはほとんどなく、こちらもなんとなくスカスカで豪華さに欠けたと思う。


シンプルでいいのだということもできるかもしれないが、この「眠れる森の美女」は、オーロラ姫が誕生した設定の16世紀ヴァロワ朝の衣装と舞台装飾から始まり(カラボスがエリザベス一世なのも時代考証に合っている。さらにユグノー風の帽子をかぶる人とかも)、100年後のオーロラ姫の目覚めがブルボン朝(勘定が合わないが、この変化で時間の経過を強調する)に変化するのも楽しみどころで、金糸銀糸で織られたタペストリーか、絵巻物を見ているようでなくてはならないのだ。

さらに善を現す妖精たち、ほかのペロー童話の主人公たち、宝石の擬人化、各国の王子が次々登場するのだから、世界で一番リッチでゴージャスな舞台でもいいと思うくらいだ。


タマラ・ロホは今回オーロラ姫を踊らないが、アリーナ・コジョカルがもし抜けたらどうなるんだろう...と不安を掻き立てられる舞台でもあった。

その中で 金原里奈さんの青い鳥はとってもよかったです!



ちなみにわたしはカラボスとリラの精はそれぞれが冬と春を象徴する、死と再生の神だと思っている。
オーロラ姫が長い眠りにつくのが冬、目覚めるのが春。
オーロラ姫は豊穣神デメテルの娘ペルセポネ(のようなもの)だ。ペルセポネは冥界の神、ハデスの花嫁。
そして冥界の神ハデスはもともと豊穣神と冥界神を兼任していた。つまり根本的にカラボスとリラの精は同一人物、というのがわたしの考えオーロラ姫は何者か、あるいはカラボスとは何者か



(写真はポスター)
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