この間、防衛局は辺野古側埋立が終了しているにもかかわらず、設計変更申請の内容を先取りした大浦湾埋立のための土砂仮置きのための土砂搬送を続けていることを説明してきた(10月18日、11月19日、11月22日、12月7日のブログ等)。未だ、設計変更申請が承認されていないのであるから、現在、連日のように続いている本部塩川港・安和桟橋からの土砂海上搬送は、公有水面埋立法に違反している。
辺野古側埋立には319万㎥の土砂が必要だが、防衛局は9月末時点で318万㎥になったと説明していた。残りわずか1万㎥だったのだ。1週間ほどで終える量である。
その後、10月以降も連日、土砂搬送を続けているにもかかわらず、10月末時点でも318万㎥、そして現時点でも同量で、11月末までの工期を来年2月末まで延期したという。そして、「連日土砂を搬送しているのに埋立量が変わらないというのは何故か?」という指摘に対して、「埋立のための土砂搬送ではなく、赤土流出防止対策のための土砂搬送をしている」というとんでもない弁明を続けているのだ。
昨日(12月18日・月)、本部町島ぐるみ会議は、この問題について沖縄防衛局長交渉を行った。午前11時、嘉手納の防衛局前に40名ほどが集まり、事前集会。その後、午前11時半から代表5名が防衛局長との交渉に臨んだ。
我々の要請・質問書を末尾に掲載する。防衛局長の回答は下記のとおりだった。
*「現在、赤土流出防止対策のための土砂の搬入・転圧を続けており、大浦湾側の埋立に使用する土砂の仮置きは実施していない。具体的には、埋立の作業過程において複数点在することとなった濁水処理のための雨水調整池を集約して、雨水を効率的に処理できるよう護岸に沿った雨水調整池を設けるために必要な土砂を搬入している。」
*「赤土流出防止対策は、土砂による整地だけではなく、土嚢及び盛土による小堤工の構築も行っている。」
*「赤土流出防止対策のための土砂の量は、工事終了の際に清算するものであい、現時点では把握していない。」
*「8月4日に契約した『R5造成工事』は未だ着手していない。」
このようなとんでもない回答に対して、我々は次のように追及した。
○「雨水調整池は池を掘り込んで造成するものであり、『雨水調整池を設けるための土砂』などあり得ない。また、点在する雨水調整池を埋め戻すとしても、その分は『埋立に必要な319万㎥』に含まれているはずである。」
○「『土嚢による小堤工』というが、土嚢は水の流出を止めるためのものだから砂を入れて作成する。今回のような最大粒径30cmの岩ズリでは、間から水が流出し、役に立たない。現に、『R4埋立追加工事』の特記仕様書では、『大型土嚢(海砂)』が9000個も計上されている。砂で大量の土嚢を作成しているのだ。」
○「10月~12月中旬までに10数万㎥もの土砂が搬送されたが、防衛局が『赤土対策のための土砂量は把握していない。工事終了の際に清算する』というのはおかしい。発注者として工事の進捗状況をその都度、把握しているのは当然だし、現に、埋立のための土砂量については毎月、県に報告しているではないか。」
いずれにしろ防衛局は、20日の代執行訴訟で勝訴し、国土交通大臣が設計変更申請を承認すれば、大浦湾の埋立のための土砂仮置き工事は「違法」ではなくなる。それまではどんな言い方でもいいから搬送作業を続けようとしているのだ。こんなふざけた対応は絶対に許されない。
(冒頭、沖縄防衛局長に要請書を手交)
(12月18日のQABニュース)
(12月18日のQABニュース)
(嘉手納の沖縄防衛局前には40名ほどが支援にかけつけた)
下は、防衛省から伊波洋一さんへの回答文書
***********************************
<防衛局長宛の要請書>
沖縄防衛局長 伊藤晋哉様 2023年12月18日
要 請 書
本部町島ぐるみ会議
沖縄防衛局はこの間、辺野古新基地建設事業の一環として、「シュワブ(R4)埋立追加工事(1~3工区)」(以下、「R4埋立工事」)で、辺野古側に土砂を投入して埋立工事を進めてきました。
本年10月、沖縄県の照会に対して防衛局は、「辺野古側へは、『R4埋立工事』で、本年9月末時点で約318万㎥の土砂を投入した」と回答していました。辺野古側の埋立に必要な土量は319万㎥ですから、その時点で、残り約1万㎥で完了するはずでした。
ところが防衛局は11月も、県に、「10月末時点の土砂投入量は約318万㎥と変わらない」、「赤土流出防止対策のために土砂を搬送している。埋立には使用していない」と回答しました。
さらに、「R4埋立工事」の工期は本年11月末まででしたが、12月4日、私たちや報道機関に、「『R4埋立工事』の工期を、11月17日付で、来年2月末まで延長した」、「赤土流出防止対策のための土砂の搬入を行っている」と回答してきました[1]。これでは、9月末以降、「R4埋立工事」は全く進捗しておらず、残りわずか1万㎥の埋立土砂を投入するのに5ケ月を要するということになります。
私たちは、本部塩川港と安和桟橋で、毎日午前7時から午後8時頃まで土砂を搬送するダンプトラックの台数のカウント作業を続けています。その集計によれば、10月、11月の2ケ月間でダンプトラック32,929台分の土砂が大浦湾に運ばれています。これは、約10万㎥にもなる大量の土砂ですが、一体、何処で使われているのでしょうか?
12月5日、参議院外交防衛委員会での伊波洋一議員の質問に対して、防衛省の担当者は、「これまでの埋立土量は約318万㎥。辺野古側の埋立地においては、赤土流出防止対策として、護岸に沿った濁水処理の雨水調整池を埋めるため、さらに陸との際の部分にも土嚢を積むために必要な土砂を搬入している」と答弁しましたが、赤土流出防止対策のために大量の土砂を搬入することなどあり得ません。
すでに辺野古側の埋立工事は完了し、本年8月3日に契約された大浦湾側の埋立用土砂の仮置き工事(「シュワブ(R5)造成工事(1~2工区)」)を行っていることは明らかです。しかしこれは、設計概要変更承認申請の工事内容であり、同変更申請が承認されていない現状では着手することはできないはずです。また、本年8月29日の「辺野古側で必要とする埋立土量約319万㎥を超えて購入土砂を搬入することおよび造成工事に着手しないこと」とした、知事の行政指導にも反しています。
この問題につき、下記のとおり要請します。また2から6の質問についてご回答ください。
記
1.すでに辺野古側の埋立に必要な約319万㎥の土砂投入は完了しており、現在、搬送しているのは大浦湾の埋立のための仮置き土砂である。設計変更申請が未承認の時点で仮置き工事に着手することは違法であり、認められない。また、知事の行政指導にも反している。
ただちに土砂搬送を中止し、違法に搬入した土砂を撤去するよう求める。
2.「シュワブ(R5)造成工事(1~2工区)」は本年8月3日に契約を終えているが、現時点ではまだ、着手していないのか? 何時、着手の予定か?
3.「シュワブ(R4)埋立追加工事(1~3工区)」の工期は、当初は本年6月30日までだったが、その後、8月31日まで延期され、さらに11月30日まで再延期された。9月末時点で、残り1万㎥にすぎなかったにもかかわらず、11月17日付で来年2月末までさらに大幅に工期延長したのは何故か?
4.防衛局は、「本年9月以降の土砂搬送は、赤土流出防止対策のためであり、埋立には使用していない」と説明してきたが、12月5日の参議院外交防衛委員会で示した赤土流出防止対策の内容は、「雨水調整池を埋めるため。陸際部分への土嚢設置のため」というだけであった。しかし、雨水調整池を埋立てるための土量は、埋立必要土量に含まれているはずである。何故、これほど大量の土砂が追加で必要になるのか、その計算根拠を具体的に説明されたい。
また、本年9月以降、赤土流出防止対策のために辺野古側に搬入した土砂量、そして今後、来年2月末までに搬入予定の土砂量を説明されたい。
5.辺野古側埋立は、「シュワブ(H29)埋立工事」、「シュワブ(R元)追加埋立工事」、「シュワブ(R3)追加埋立工事」、「シュワブ(R4)埋立追加工事」と進んできた。以前の辺野古側埋立工事でも、今回のように大量の土砂を搬入する赤土流出防止対策を行ってきたか?
赤土流出防止対策とすれば、その内容は、県の赤土等流出防止条例に基づく事業行為通知書に記載されているか。
6.辺野古新基地建設事業では約1,690万㎥の岩ズリを使用するとされている。しかし、今回のように、埋立用以外に赤土流出防止対策として大量の土砂が必要だというのであれば、今後の大浦湾の埋立工事でも同様の赤土防止対策が必要となるのか? その場合、岩ズリの総量はいったいいくらになるのか。
また、2020年に提出した「設計概要変更承認申請書」(添付図書―6)の「埋立土量」の変更が必要になるのではないか。
(以上)