勝連の陸上自衛隊勝連分屯地へのミサイル配備に反対する「ミサイル配備から命を守るうるま市民の会」は、昨日(2月27日)、記者会見を行い、防衛局の森林法違反の事実を公表した。夜のNHKテレビのニュースでも報道され、大きな反響を呼んでいる。
なお、記者会見に先立ち、沖縄県森林管理課の担当者と話し合ったが、「県として基地内に立入調査も行い、経緯を確認したい」とのことだった。市民の会は、今後、知事、防衛局長への要請書を提出するという。
事件の概要は以下のとおりである。
防衛局は2021年8月、「陸上自衛隊勝連分屯地に2023年度中に地対艦ミサイル部隊を配備する」とうるま市に伝えた。沖縄島では初めてのミサイル配備となる。現在、勝連分屯地では隊舎等新設工事が進められている。
勝連分屯地は、1973年、米軍から返還され、陸上自衛隊の分屯地となった。1979年に射撃場が建築され、県内の自衛隊、警察、海上保安庁等が射撃訓練を行っている。(『沖縄の米軍基地』(沖縄県)より)
分屯地南域の森林は森林法に基づき保安林に指定されている。県南部林業事務所で保安林台帳を確認したところ、この一帯は1975年4月24日に保安林指定、指定の目的は「風害防止」とされている。
保安林での土地の形質変更は森林法で厳しく禁止されている。
「保安林内においては、木の伐採、--土石の採掘、開墾、その他土地の形質の変更行為が制限され、行為を行う場合はあらかじめ県知事の許可を受けなければなりません。その内容が保安林の機能を損なわない範囲であれば許可されます。無許可での立木の伐採や作業行為は森林法違反となり、処分の対象となります。」(沖縄県南部林業事務所ホームページ)
(沖縄ドローンプロジェクトが規制区域外から撮影)
上の写真が勝連分屯地の全景である。丸点線部分は、現在、道路や広場となっているが、この部分は、森林計画図、保安林台帳で保安林とされている。基地内の保安林部分は全15筆、総面積は14,690㎡(登記簿面積)に及ぶ。15筆の土地登記簿も確認したが、地目は全て「保安林」であった。
念のため、沖縄県に、「勝連分屯地内の保安林解除申請書」を公文書公開請求をしたが、やはり、この箇所で保安林解除手続きは行われていないということであった。
この保安林部分が何時、解除の手続きをせずに違法開発されたかは明らかではない。ただ、1973年に米軍から返還されて陸上自衛隊の分屯地となった後、1975年4月に保安林指定されているから、この違法開発は陸上自衛隊以外の者は行い得ない。
沖縄県は従来から保安林の違法開発には厳しく対処し、原状回復をさせてきた(本年1月の伊計島での事件等)。陸上自衛隊勝連分屯地の違法開発についても、県として速やかに現地への立入調査等を行い、原状回復を命じて森林に戻させなければならない。また、現在、分屯地内で行われている工事(「勝連(4)車両整備場等新設土木工事」等)も原状回復等の措置を終えるまで中止するよう指示するべきである。
また、この違法開発部分が、ミサイル配備予定個所となる可能性がある。防衛局は、違法開発の経緯を明らかにし、原状回復等の措置を終えるまでミサイル配備を行ってはならない。
(2月27日の記者会見)
(赤線が保安林に指定された土地。分屯地の南域が保安林に指定されているにもかかわらず、基地施設に形質変更されてしまっていることが分かる。)
(グーグルの航空写真に保安林部分を加筆したもの。右側の広場にミサイルが配備される可能性が高いが、そのかなりの部分は保安林に指定されている。(沖縄ドローンプロジェクト撮影))