5月17日(木)、オール沖縄会議が大浦湾の軟弱地盤問題について、鎌尾彰司日大准教授(地盤工学)の学習会を開催した。この日、沖縄県が鎌尾先生を県庁に招き、軟弱地盤問題について意見交換の場を持っている。せっかく沖縄に来られたので、オール沖縄会議としても学習会を持ちたいとお願いしたところ、快諾していただいたのだ。急な企画だったので、一般向けではなく、オール沖縄会議の役員さんたちだけの30人ほどの学習会だった。私が司会・進行を努めさせてもらった。
(鎌尾准教授の学習会)
鎌尾先生は、国のボーリング調査の結果をもとに「大浦湾のケーソン護岸下部には、N値ゼロというマヨネーズのような厚さ40mもの軟弱地盤が確認された。これは当初の設計条件と大きく異なっており、このままでは地盤の液状化や圧密沈下が避けられない。大型ケーソンを設置することはできず、何らかの地盤改良工法が必要となる。サンドコンパクションパイル(砂杭)工法などが考えられるが70mの深さまで地盤改良するのはもう限界に近く、莫大な費用と1年以上の工期が必要となる。また、大浦湾の環境に与える影響も著しい」と説明された。
会場には、海洋での土木工事の経験のある奥間さんや、県の土木部門のOBなども来ていたので、鎌尾先生への熱心な質問も続いた。
いずれにしろ、知事への設計概要変更申請が不可避であり、知事が承認しなければその時点で工事は頓挫する。防衛局は、「まだ調査が終っていないので地盤の強度は確定していない」と逃げ続けており、秋の知事選までは軟弱地盤の事実を認めないものと思われる。これからもこの軟弱地盤の問題を広く訴えていきたい。
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17日は、軟弱地盤問題が明らかになった防衛局のボーリング調査報告書の一部が黒塗りされていたことについて、防衛大臣に行政不服審査法に基づく審査請求を行なった。
16日に開かれた国会議員らの沖縄等米軍基地問題議員懇談会で、防衛省の担当者がこの黒塗りについて、「今後追加調査を行なう可能性があり、そこが特定されると、安全確保などに支障を及ぼす可能性がある」と説明したという報道があり、これは放置できないと思ったのだ。
4月27日の防衛省交渉では、防衛省担当者は、「ボーリング調査の工期は1年延長して来年3月末とした。しかし、今後室内試験は行なうが現場での海上ボーリングはもう実施しない」と明言した。追加調査などあり得ないのだ。
また、ケーソン護岸の実施設計は3つの契約で行なっているが、そのうち2つの業務はすでに完了しており、残りの1つの業務も来年3月末までである。実施設計にあたっては、土質条件等の設計条件を事前に与える必要があることから、すでにボーリング調査はほとんど終っていることは明らかである。来年3月までボーリング調査が続くのなら、ケーソン護岸の実施設計はそれから開始することとなる。
結局、今になって「新たなボーリング調査の可能性」などを言い出したのは、少なくとも秋の知事選まで、軟弱地盤の問題はまだ確定していないという弁明のためのものであろう。こんないいかげんな弁明を許さないためにも、審査請求により事実を明らかにしていきたい。
(18日の琉球新報。審査請求と鎌尾先生の学習会を報道してくれた)