現在、琉球セメント安和桟橋、本部港(塩川地区)から、連日、辺野古への埋立土砂が搬送されている。この土砂(岩ズリ)は、本部町から名護市にかけて広がる琉球セメント安和鉱山から搬出されたものだ。
名護から美ら海水族館に続く国道449号線は、沖縄でも有数の観光道路だが、山を切り崩して続く広大な採石場には驚く。 轟音をあげて突っ走るダンプトラック、巻き上がる粉塵---、環境や景観の問題としても対応が迫られている。
この付近の採石場はほとんどが石灰岩の山だ。一般の岩石は採石法が適用されるが、石灰岩は「鉱物」に分類されているので、鉱業法が適用される。採石法は、知事の所管だが、鉱業法は国(沖縄総合事務局)が所管している。
鉱業法では、鉱業を実施しようとする場合、国に事業計画書(施業案)を提出し、認可を受けなければならない(鉱業法63条)。事業者は、認可を受けた施業案によらなければ鉱業を行ってはならないとされている(同法63条3項)。
昨秋、沖縄総合事務局への公文書公開請求で、琉球セメント安和鉱山や山城砕石鉱業、国場コービック等の鉱山の施業案の開示を受けた。
施業案には、「販売の対象となる生産物のすべて」を記載しなければならない(『施業案記載の手引き』沖縄総合事務局)。岩ズリは、1㎥あたり5370円もの高額で販売されているが、施業案に記載されていない場合、岩ズリを販売することは鉱業法63条3項違反となり許されない。これは、同法149条にで懲役・罰金に処せられるより重大な違反行為である。
開示された施業案は、その部分が一部を残して黒塗りされてしまっているので断定はできないが、他の箇所には、「ずり、捨石、廃泥等は生じない」と記載されている。岩ズリを商品として出すとはされていないはずだ。
何回か沖縄総合事務局経済産業局環境資源課を訪ね、説明を求めたが、全く埒があかない。伊波洋一参議院議員が通産省へのヒヤリングを行ったところ、施業案に記載のない場合は商品として出すことはできないということが確認された。
そのため、うりずんの会(沖縄選出野党国会議員団)、オール沖縄会議等の連名で要請書を作成し、9日に沖縄防衛局長、10日に沖縄総合事務局長への要請を行うこととなった。
施業案に岩ズリを商品として出すと明記されているかの確認を求め、記載がない場合はただちに岩ズリの販売を中止させるよう求めている。