チョイさんの沖縄日記

辺野古や高江の問題等に関する日々の備忘録
 

防衛局は大浦湾で強引に工事(海上ヤード工、A護岸工、敷砂工、軟弱地盤部での地質調査) を強行しているが、このままでは破綻は明らか --- 問われる沖縄県の毅然とした対応!

2025年01月10日 | 沖縄日記・辺野古

 昨日(1月9日・木)は、辺野古・大浦湾から本部塩川港・安和桟橋をまわった。代執行の後、ちょうど着工から1年になる大浦湾の工事の状況についてまとめてみよう。

 今夜のNHK沖縄ニュースは、「代執行着工1年」として工事の状況を報じたが、そこでは何度も、「計画から遅れ」、「遅れが目立つ」と繰り返されていた。工事は決して順調には進んでいないのだ(なお、このNHK沖縄ニュースは、工事の遅れとともに、昨年6月の安和の死傷事故について、作業を急がせた防衛局の責任を報じており、素晴らしい)。


 下の写真は昨日、瀬嵩の灯台跡の丘から見下ろした大浦湾の様子である。土砂運搬船の他にも多くの作業船で様々な工事が行われている。今後、地盤改良工事が始まると、工事区域内には100隻を超える作業船が集中する。今は20隻ほどだが、それでもこれだけの密集状態なので、100隻を超える作業船など到底無理だろう。

 写真の一番手前は、大型ケーソンの仮置場となる海上ヤード造成工事の作業船である。ちょうど昨年、1月10日に捨石投入が始まったが、設計変更申請書の工程でも2年半を要するというのに、1年が経過した今も工事はそれほど進んでいない。大きな台座を造成するので、ダンプトラックで 2.2万台以上にもなる大量の石材投下が必要だが、工事は大幅に遅れている。

 また、石材投入の度に白塵が舞い上がり、海が白濁していることも問題となっている。環境保全図書の記載内容に反し、海中に投下する石材が事前に洗浄されていないのだ。この工事も県の中止を求める行政指導を無視して行われている。

 後ろの土砂の瀬取船の向こうには、海底に敷砂をするトレミー船が見える。昨年末(12月28日)に、「2024年中に地盤改良工事に着手した」と宣伝するためだけに駆け込みで2時間ほど敷砂作業を行ったものだ。これは地盤改良工事そのものではない。

 地盤改良工事にあたっては、杭打設による汚泥の舞い上がり等を防ぐために海底に厚さ 1.5mの敷砂を行う。今、敷砂を実施しているのはC3護岸部(C2護岸と一体施工)なので、まず、4.2万㎥もの敷砂が必要となる。従って、地盤改良工事(この部分では、SCP工法で6,600本の砂杭打設)はまだまだ始まらない。

 年末にSCP工法作業船が、金武湾港や中城湾港に来た。報道では、「防衛局は年内に砂杭打設に着手したかったが、荒天のためにできなかった」といわれているが、それはあり得ない。C3護岸工では、2隻のSCP作業船が必要となるが、工事の特記仕様書では、作業船の「船体補強の改造」(さらに深いC1護岸部のSCP工法のためには、3隻のSCP作業船の「75m級への改造」)が必要になるとし、その改造費用は防衛局が負担するとされている。今の時期にSCP作業船を持ってきたのは、船体改造や艤装等のためであろう。

 写真の一番後ろ、長島の前に見えているのは、深田サルベージの「新潮丸」である。1月4日の本ブログでも詳しく述べたが、防衛局は昨年9月から大浦湾の軟弱地盤最深部(C1護岸部)に2隻の地質調査船を出し、ボーリング試験を実施している。最も深刻なB27地点付近でボーリング試験を実施していないことがデニー知事の設計変更申請不承認の最大の理由だった。しかし防衛局は、「離れた3地点のボーリング試験結果からB27地点の強度を類推できる」としてボーリング試験を頑なに拒否し続けてきた。それが、業者も決まった今になって、B27地点でのボーリング試験を実施している。防衛局も、地盤の強度に確信が持てなかったのだ。

 この昨年9月からのボーリング試験について、県も防衛局に照会したが、防衛局は、「地盤改良の前後で地盤の状況の変化を確認するためのもの。B27地点ではなく、護岸予定地周辺での調査。結果の公表は予定していない」と答えたという。県は、こんないいかげんな回答にもかかわらず、防衛局に再照会はしていない。

 この2隻のボーリング試験船に加えて 昨年12月9日、「新潮丸」が大浦湾に入ってきた。深田サルベージのホームページでは、「多目的作業船」、「コーン貫入試験。海底着座型ボーリング機『Unicom-1』作業母船」とされている調査船である。新たな土質調査がさらに始まったのだ(今年になって、多目的起重機船「第6長崎号」も入ってきたが、遅れている浚渫工のためだろうか?)

 きわめて重大な事態である。防衛局は、これらの土質調査内容について、詳しく説明しなければならない。地盤、護岸の安定性に問題がないというのなら、公表を拒否する理由はない。

 沖縄県も、調査内容の詳細、調査結果を公表するよう強く求めなければならない。

 

 (手前から海上ヤード工捨石投下の作業船、土砂瀬取船、敷砂のトレミー船、土質調査船)

(A護岸工では、1000本の鋼管杭打込みが必要だが、昨年8月から年末までの4ケ月で62本の鋼管杭を打込んだにすぎない。このペースでは鋼管杭打込みだけで5年以上かかる。杭打設後も、中詰材投入や上部コンクリート打設等に要する期間を含めれば、設計変更申請書の約4年の工期は2倍近く遅れるだろう。)

  (深田サルベージの「新潮丸」でも土質調査が行われている。(Nさん撮影)

  (敷砂投入のためのトレミー船(Nさん撮影)

 

 (他目的起重機船「第6長崎号」。使用目的は現時点で不明だが、浚渫工の可能性が高い(Nさん撮影)

 

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