名護市から本部町にかけての国道449号線北側には多くの鉱山(石灰岩の採石場)が続き、安和桟橋や本部塩川港には辺野古埋立土砂を搬送するダンプトラックも集中している。
そのため、一帯には粉じんが立ち込め、周辺の住宅や国道の街路樹も真っ白になるなど、住民生活に大きな影響を与えている。また、この道路は美ら海水族館に向かう県内でも有数の観光道路だが、あまりの惨状に顔をしかめる観光客も多い(たとえば末尾の新聞投稿参照)。
名護市民らが1昨年3月、沖縄県議会に、「この付近の国道や住宅地区等での粉じん・騒音・振動等の環境調査を実施すること」を求める陳情書を提出した。2021年、2022年の県議会では、「継続審議」が続いていたが、本年3月30日の県議会定例会で全会派一致で採択されたのだ。
県議会で採択されたことを受け、請求人や本部町島ぐるみ会議は4月24日、知事宛に環境調査の速やかな実施等を求める要請書を提出した(要請書全文は末尾参照)。
昨日(6月9日)、この要請書に対する県の回答の場がもたれた。県からは知念環境保全課長をはじめ、土建部道路管理課、港湾課の担当者らが出席した。
(6月9日、県環境部、土建部との交渉)
県の回答は驚くようなものだった。県議会で全会派一致で環境調査の実施が採択されたというのに、「陳情が採択されたからといって、知事が実施しなければならないという拘束力はない」、「環境調査は実施しない」と言い切ったのだ。
あまりの回答に私たちは啞然とした。県議会で全会派一致で採択されたというのに、この開き直りはないだろう。
県議会で審議され、全会派一致で採択されたという重みを県当局はどう考えているのか? これでは県民は何のために議会に陳情しているのか? 審議を進めた県議会の努力をないがしろにするものであり、議会軽視も甚だしい。
しかも環境保全課長は、この回答にあたって、三役の確認はとっていないと認めた。少なくとも環境部長の決裁を受けたのかと聞いても、「部長は知らないということではない」「部長に全部伝わったかどうかは分かりません」と答えるだけだ。もう呆れ果てて言葉もない。
この問題は放置できない。地域の生活環境を守るためにも、なんとしても国道449号線の環境調査を実施させたい。
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沖縄県知事 玉城デニー様 2023年4月24日
要 請 書
陳情者一同
本部町島ぐるみ会議
私たちは2021年3月、沖縄県議会に、「国道449号線(名護・本部地区)での粉じん等の環境調査を実施すること」という陳情書を提出していましたが、この陳情は、本年3月30日の県議会定例会で採択されました。
陳情が県議会で採択されたことから、県は、環境調査を実施するとともに、国道449号線の粉じんを軽減するための施策を講じることが必要となりますが、陳情者として、下記のとおり要請します。
記
1.県議会で陳情が採択されたことを受け、速やかに国道449号線の交通量調査、粉じん・騒音・振動等の環境調査を実施すること。
2.環境調査にあたっては、調査内容について事前に私たちに説明し、意見交換の場を設けること。
3.国道449号線の粉じんは、土砂・石材等を搬送する大量のダンプトラック走行が最大の原因である。しかも、大雨の中でも土砂搬送が行われているため、荷台から濁水が流出し、乾燥後は粉じんの原因となっている(2023.4.22 沖縄タイムス)。
北部土木事務所は、本部町島ぐるみ会議との間で、「本部塩川港や安和桟橋への土砂搬送は、時間雨量5mm以上の降雨予報が出た場合は中止させる」と確認している。この内容を、沿線の各鉱山、事業者等にも徹底すること。
4.粉じんは、土砂搬送のダンプトラックだけではなく、添付写真のように鉱山からも舞い上がっていることが確認されている。「鉱山の公害対策は国の所管」とするのではなく、県として国に改善を求める申入れをすべきではないか?
5.本部塩川港では、土砂積込みのためにベルトコンベアが設置されたが、一般粉じん発生施設設置届出書の内容どおりの対策が採られていなかったことから、大量の粉じんが舞い上がっていることが問題となった。そのため、届出書の変更届が出され、高圧洗浄機が設置された。
北部土木事務所は、従来、私たちに対して、「高圧洗浄機については、北部保健所において適宜確認を行っている」と説明してきたが、本部塩川港の高圧洗浄機の運用状況を説明されたい。