糸満市・魂魄の塔横の熊野鉱山開発計画は、遺骨混りの土砂が採掘されるということで大きな問題となってきた。しかしもう一つの大きな問題は、鉱山に隣接した貴重な戦争遺跡であるシーガーアブが、鉱山開発により崩落するのではないかと危惧されることだ(シーガーアブの埋蔵文化財としての重要性については5月30日のブログ参照)。
私たちはこの間、シーガーアブの保存の必要性を訴えてきた。県教委はそれを受けて、熊野鉱山開発業者に文化財保護法第93条に基づく届出書を提出させた。
この問題について、5月29日には糸満市教委と面談の場を持ったが、昨日(6月8日・木)、具志堅隆松さんや南部地区の島ぐるみ会議のメンバーらと県教委文化財課への申入れを行った(ちょうどこの日、文化財保護法第93条に基づく届出書が開示された)。
県教委は、ちょうど6月5日に、4月の調査では入っていなかった西側のアブに入ったということだった。
私たちは県教委に次の2点を申し入れた。
① 2つのシーガーアブは地下で繋がっていることが確認されたが、その部分に石材・土砂を搬出するダンプ道路を設ければ崩落するおそれがある。届出書では鉄骨を置き、鉄板を敷くとしているが、その具体的な記載がなく、地下のガマ部分の土被り厚等も不明である。
土砂搬出道路を敢えて貴重な戦争遺跡であるシーガーアブを破壊するようなルートとしなくても、何処からでも北側の農道に接続することができる。県教委としてルート変更を指示すること。
② 西側のアブの中央部にフェンスが設置する計画となっている(上図参照)。そのため、アブの中にコンクリートの基礎が設置され、作業用道路が造成されるため、埋蔵文化財包蔵地としてのアブが破壊される。
当初の計画ではフェンスはアブの南側の鉱山敷地内に設置するとされていたはずである。アブの中にはフェンスを設置させないこと。
県教委が、シーガーアブを埋蔵文化財包蔵地として工事にあたっては埋蔵文化財法第93条の届出を提出させるよう糸満市教委を指導したのは評価できる。しかし、昨日の話では、上記のようなアブの崩落・破壊のおそれに対して十分な対策を講じさせる姿勢をまだ見せていないのは残念だ。
さらに検討を求め、再度、話し合うことを約束させて昨日の話し合いは終えた。
シーガーアブに関する文化財保護法第93条の届出書(着手時期が「令和5年6月1日」とされているが、届出から60日間は工事に着手できないので、この記載は不適切。県教委は再提出を求めるべきである)。