名護市教育委員会が『名護市史本編3「名護・やんばるの沖縄戦」』を発行した。体験者400人からの聞き取りなどをもとに、やんばるでの戦闘や各収容地の様子などが詳しくまとめられている。B5版で全880頁にもなる大部の本だ(4000円)。来月には一般書店にも並ぶという。
さっそく入手することができた。まだパラパラと見ただけだが、「戦争についての記述や考察では、ともすると比較的目に見える破壊や損失に比重が掛けられてきた嫌いがある。しかし一方で、個人の生活や生き方に焦点を当ててみると---」と書かれているように、行政が作成した『戦史』としてはかなりユニークなまとめ方になっているようだ。
大浦崎収容所の部分だけをざっと読んだが、今まで国道329号線の東側だけだと言われていた大浦崎収容所が、国道の西側にも及んでいたことが明らかにされている。我々が国道横に抗議のテントを張り、集会を続けていた場所も、当時は「本部町民収容所」だったのだ。
またこの本には大浦崎収容所での人々の暮らしが詳しく書かれている。当時、収容された人々はマラリヤと飢えに苦しんだ。食べるものがなく、アダンの新芽、ヘゴの芯などを食べたという。一見やわらかく見えるイジュの新芽を食べて中毒死した一家もあったという。「連れていった誕生前の小さい子どもたちは、母乳がないのでほとんど亡くなりました。ただ、着たままで、穴を掘ってそのまま埋めていった」、「毎日お葬式の行列です。お墓は山を切り開いて穴を掘って土を盛り上げて造った実に粗末なものでした」などの証言が書かれている。辺野古の新基地は、こうした人々の埋葬地を十分に調査することもなく、全てを押しつぶして造成しようとしているのだ。
他にも、いつも通っている大浦、瀬嵩、汀間など、二見以北の人々の暮らしなどが詳しく書かれており興味深い。これからじっくりと読んでいきたい。