11月20日(水)から、辺野古・大浦湾の埋立のためにうるま市・宮城島からの土砂調達が始まった。21日には、大勢の市民らが宮城島の鉱山(採石場)前に座込んで抗議を続けた。
宮城島を出たダンプトラックは、中城湾港でガット船に土砂を積込んでいる。中城湾港は沖縄県管理の港湾なので、岸壁や荷さばき地を使用するためには県港湾管理条例に基づき、知事の許可が必要となる。私も20日、辺野古から中城湾港に向かい、県の港湾課や国の沖縄総合事務局等に問い合わせたが、防衛局から県への申請は出ていないという。なんと沖縄総合事務局は、「国が港湾整備のために管理している場所」に、国有財産使用許可を出して辺野古へのガット船に使用させているというのだ。
この手法については、「奇手」、「県手続き回避」、「法上、グレーの見方も」、「港湾行政としての整合性を欠く」、「県の港湾管理権を侵す」等、多くの批判が集中している(琉球新報、沖縄タイムス)。以下、問題点を整理したい。
港湾法2条では、港湾管理者は地方自治体であり、国は港湾管理者になることはできない。この規定は、「戦前は国が港湾管理権を一元的に有していたことが戦争遂行を容易にした。その反省を踏まえ、自治体に強い権限を持たせることで、国に歯止めをかける憲法的意味がある」(飯島滋明名古屋学院大学教授、11.23 琉球新報)とされている。
中城湾港は、国が直轄で整備している岸壁部分と、県が補助事業・起債事業で整備している岸壁、臨港道路、埠頭用地、港湾関連用地、工業用地等からなる。
今回、土砂を積込んでいる場所は、西埠頭最西部の「港湾関連用地」の東側の岸壁である。国は、この土地は「国の港湾整備工事の作業基地として使用するため、国が管理権を持っている」(2024.11.21 琉球新報)として、国有財産法18条に基づく使用許可を出したのだ。
国が整備している岸壁等も、竣工後、使用する場合は、港湾法の定めにより、県に管理権を移し、知事が使用許可を出すはずである。今回のような手法が認められれば、国が整備後も県に移管せず、いつまでも国が港湾を管理することが可能となってしまう。港湾法の趣旨に反することは明らかである。
そもそも行政財産は、行政のための財産であり、国以外の者が使用収益することは、行政財産の本来の用途や目的から外れてしまうため、法令上、強く制限されている。ただ、「その用途又は目的を妨げない範囲」で使用許可を出すことができるが、「その必要性が認められる場合」、「一次的又は限定的なため、業務運営上支障が生じない場合」、「必要不可欠な場合」等に限られる。
中城湾港は、すでにほとんど整備が完了し、東埠頭、西埠頭に多くの岸壁がある。使用したいのであれば、知事に岸壁使用許可申請を出して許可を得るべきである。
「県幹部の一人は、『物流の場所を求めている事業者はたくさんおり、毎週バース会議を開いて利用状況を調整している。港湾整備のため、やむなく国が管理している場所を、特定の相手に貸し出すのはどうなのか』と疑問を呈した」(2024.11.22 琉球新報)と報道されているが、そのとおりであろう。
県の毅然とした対応を期待したい。
11月20日の中城湾港