9月15日は所要のため、嘉手納の沖縄防衛局で公文書の開示を受けただけで、高江には行けなかった。午前中、車に乗っていた2名が逮捕されたとの連絡が入る。駐車違反ではなく、「往来妨害罪」という物々しい罪名らしい。今まで何度も指摘してきたように、突然、県道を何時間も封鎖し、車両が通行できないようにしている機動隊こそ「往来妨害罪」ではないか? 工事車両への抗議・阻止行動に焦った政府は、ますますなりふり構わないや強圧的なやり方に出てきたようだ。
(機動隊による道路封鎖こそ「往来妨害罪」---左は本年9月14日、右は9月10日)
一昨日の自衛隊機による重機の空輸に対する怒りが高まっている。米軍基地建設のために自衛隊機を出すことは、全く法的根拠がないこともますます明らかになってきた。政府が弁明する防衛省設置法第4条19号は、今回の行為の根拠法令とはならない。
ヘリによる機材の空輸は、防衛局が本年7月に県に提出した『環境影響評価書』の『検討図書』で初めて明らかにされた。そこでは工期短縮(来年1月末まで)のために、モノレールの設置と合わせてヘリによる空輸を行うとされていた。ところが今日の沖縄タイムスでは、防衛省はさらに工期を短縮して「本年12月末まで」に竣工させると言っているらしい。ケネディ駐日大使の退任までに完成させ、ケネディへの「手土産」としたいというのだから実にふざけた話だ。
実際には、すでに工期は大幅に遅れ、「本年12月末」どころか「来年1月末」までの完成など有り得ない状況になっている。工事用の重機をヘリで空輸したが、問題は、今後も大量に必要となる路盤材(砕石)だ。
下の写真はQABテレビが報じたN1地区の工事状況(9月12日)。2ケ所のヘリパッドのうち1ケ所で伐採が進んでいるにすぎない。また、G地区、H地区はまだ全く手付かずの状態にある。
N1地区の工事状況(9月12日 QABニュースより)
N1地区、G地区、H地区のヘリパッド造成のために必要な砕石の量は次のとおりである(開示された各地区の特記仕様書による)。
地 区 |
必要砕石量 |
必要10㌧ダンプ数 |
|
N1 |
ヘリパッド 2ケ所 |
1,751㎥ |
318台 |
|
工事用進入路 |
1,350㎥ |
245台 |
G |
ヘリパッド 1ケ所 |
1,590㎥ |
289台 |
|
進入路 |
1,713㎥ |
311台 |
H |
ヘリパッド 1ケ所 |
871㎥ |
158台 |
合計 |
|
7,275㎥ |
1,321台 |
現在までに搬入された砕石量は大型ダンプで400台ほどだろう。今後、さらに必要となる砕石量は大型ダンプで900台ほどにもなる。高江集落を通る村道や新川ダムを通る村道は使えないから、これだけの砕石量をいったんN1ゲートから入れ、それをN1地区への工事用進入路からG地区、H地区に運搬しなければならないのだ。そこでは大型ダンプは使用できず、キャリアダンプ等で運搬しなければならないから、1日に運べる量は限られている。まさか、砕石までヘリで空輸するわけにもいかないだろう。また、砕石だけではなく、張芝や他の資材等も大量に必要となる。
このように、N1地区のヘリパッドは突貫工事で完成させたとしても、G地区、H地区のヘリパッドは来年3月の稀少生物の繁殖期までに完成させることは不可能に近いことが分かる。あいつぐ不当逮捕や違法工事は、こうした遅れに対する政府の焦りを示している。