国は代執行で辺野古・設計変更申請を知事に代わって承認し、本年1月10日から大浦湾に石材を投入する海上作業ヤード工に着手した。防衛局は昨年12月4日、大浦湾の4件の護岸工事(地盤改良工事を含む)の契約も終えているので、まもなく地盤改良工事が始まると思われる。しかし、このまま着工することは許されない。
護岸工事のうち3件は、ケーソン護岸工事だが、ここでは、A護岸工について説明する。
A護岸工は直径1.4mの鋼管矢板を延長543mにわたって2列に打込み、その間に中詰材を入れる二重鋼管矢板式構造の護岸である。埋立承認願書でのA護岸工の工期は9カ月にすぎなかったが、設計変更申請では、最も迅速な打撃工法(ウォータージェット併用バイブロハンマーでの打設で、工事は迅速だが、汚濁が拡がる)に変更したにもかかわらず、なぜか、工期は3年10カ月にも延びている。
今回、代執行で承認された設計変更申請書の本文部分である「設計の概要」には、「サンドドレーン工法による地盤改良を行いつつ、杭打船による二重鋼管矢板の打設でA護岸を造成する」と記載されている(P10)。
しかし、A護岸工では、鋼管の打設後、中詰材の沈下対策としての地盤改良(サンドドレーン工法)を行う個所はあるが、鋼管打設の際に地盤改良は行わない。
防衛局は、「地盤改良を行いつつ、--- A護岸を造成する」というのは、「A護岸を造成する際に、大浦湾の他の箇所ではサンドドレーン工法による地盤改良が行われている」というのかもしれない。しかし、設計変更申請の元となった、「地盤に係る設計・施工の検討結果 報告書」(2019.1)では、A護岸の基礎部分でサンドドレーン工法を行うと図示されている(P97 下に添付)が、この記載は当時の計画が設計変更申請でも残ったものと思われる。そもそも大浦湾の別の箇所では、サンドコンパクションパイル工法による地盤改良も行われており、この弁明は無理ではないか。
やはり、A護岸部で地盤改良を行わないのは、「設計の概要」の変更にあたるから、防衛局は、公有水面埋立法に基づき、この箇所の記載を変更する設計変更申請を行うべきであろう。
それまでA護岸工に着工してはならない。
(設計変更申請書「2 設計概要変更」P10)
今回、国が設計変更申請を代執行で承認したが、軟弱地盤の実態はきわめて深刻であることから、今後も設計変更申請が出されるといわれている。
代執行訴訟の福岡高裁那覇支部判決(2023.12.20)では、「更なる設計概要変更が生じる可能性もあり得る」と指摘した。デニー知事も、「今後も新たな変更承認申請が数回、数十回行われる可能性は否定できない」と述べている(2023.12.28 琉球新報)。
まず最初に、A護岸工の設計変更申請が必要である。
『地盤に係る設計・施工の検討結果 報告書』(2019.1) P97