今日(8月5日・金)は、東京の衆議院議員会館で開催された、具志堅隆松さんらの「戦没者遺骨に関する国とガマフヤーの意見交換会」をユーチューブで視聴した。
前半の厚労省・外務省との「沖縄の戦没者遺骨と遺族のDNA鑑定について」、「太平洋地域、韓国人遺族の問題について」では、韓国のご遺族の方もズームで参加された。各地のご遺族の方からの発言もあり、それなりの進展があった。その詳細については、今後、具志堅さんや「戦没者遺骨を家族の元へ連絡会」からの報告があるだろう。
しかし、後半の防衛省の対応はあまりにひどいものだった。具志堅さんらの事前の質問(末尾に全文掲載)に対して、ほとんど、「土砂の調達先は工事の実施段階で決まり、県内・県外のどちらかを含め、現時点では決定していない。ご遺骨の問題はきわめて重要であることから、土砂の調達先については今後、しっかり検討する」という回答を繰り返したのである。
具志堅さんたちが、「個々の質問に具体的に答えてください」と求めても、どの質問に対しても、ほとんどこの文を繰り返して読み上げるだけである。防衛省交渉ではこのようなことが多いが、今日ほどひどい対応はなかった。怒りをとおりこして呆れるほかない。
「土砂の調達候補地」として認めれば、今後、工事の実施段階で何処から土砂を調達するということを県に承認を求める手続きはない。「候補地」とすることを認めることはできない。。
他にも、「遺族に意見聴取はしていない。土砂調達先が確定していないので意見をたまわる予定もない」、「地方議会で意見書が出されていることは承知しているが、地方議会の動きについては防衛省としてコメントすることは避けたい」と開き直り続けた。沖縄のご遺族の方も、ズームで訴えられたが、防衛省の役人たちの対応は変わらなかった。
遺骨混りの南部地区の土砂を辺野古埋立に使用することは人道上、許されるものではない。また、沖縄だけの問題ではなく、全国から沖縄に派遣されて亡くなった戦没者も多く、さらにアメリカや朝鮮半島出身者、台湾の戦没者の方たちの問題でもある。
防衛省の頑なな姿勢も、この問題で一歩譲れば、土砂調達そのものができなくなるかもしれないという危機感の表れであろう。さらに追及を続けていく必要がある。
(防衛省の担当者を追及するご遺族の方)
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<戦没者遺骨 問題 意見交換会 ・ 防衛省への質問事項>
1.沖縄南部の土砂を辺野古基地建設のため海に投入する計画を立てるとき、沖縄南部に遺骨があること、遺骨は砲弾などによって粉々に砕けて土砂に混じっていることについて知っていたか。
2. 粉々の遺骨は 、遺骨収集の専門家でも 完全に 収容しきれない ことを知っているか。
3.「 遺骨 に は 適切に対処する」と防衛省が 言う場合に、そういう粉々の遺骨は 「 防衛省の 考える 遺骨 」 に含まれているか。
4.沖縄南部の地では幾万もの死体が折り重なり、戦没者の地と 肉が混じっているという事実がある。そういう 事実 は認識しているか。
5.血や腐った肉が染み込んだ 土砂を掘り返し、その土砂を海に捨てることは人道的に誤っているという指摘についてどう防衛省はどう考えるか。 血や肉の混じった土砂を海に捨てるなと言う気持ちは 単に感情的なもので意味のないことと考えるか、 沖縄県民の 重要な指摘と考えるか。
6.南部土砂を埋め立てに使うことに反対する200議会を超える地方議会決議がな されている。これを知っているか。 防衛省は なぜ沖縄だけでなく全国の地方議会で決議が上がっていると思うか。
7.我々は、 7 月 24 日南風原で市民による 第 1 回 遺族公聴会を開催し、遺族への全国アンケートを開始している。防衛省は 遺骨土砂の辺野古基地への埋め立てに使う計画について、遺族の意見を聴く機会を持ったことがあるか。遺族の声を聴かずに進めるべきではないと考えるがどう思うか 。 さらに、 この問題は、沖縄戦のみならず防衛省の「 戦没者への扱いの姿勢 」 とみるご遺族が多い。 防衛省は 沖縄のみならず、全国のご遺族からも意見を聴く 必要があると思うがどうか。ご遺族の声を聴かずに進めてもいいと思うのか。
8.現時点において 、遺族の声を聴かずに 、 遺族から非人道的と指摘される計画を立てたことに沖縄戦遺族に謝罪 し、計画を撤回 するべきであると思うがどうか。