辺野古土砂搬出反対全国連絡協議会の総会・決起集会の翌日(26日・日)、地元の方々に案内していただいて奄美大島の採石場や開設されてしまった自衛隊基地などをまわった。この日は時間が足らなかったので、27日(月)午前中にもさらに2か所の採石場や搬出港などを見てまわった。
まず、驚いたのが採石場の規模の大きさだ。あちこちで、イタジイの山が切り崩され、土砂や石材が採掘されていた。
(大和村の採石場)
辺野古の埋立のために、西日本各地6県から土砂が持ち込まれる。防衛局の資料でも、奄美大島には530万㎥もの土砂がストックされているとされており、北九州地区と並んで最大の土砂搬出地になるものと思われる。
防衛局が埋立承認申請の際に県に提出した土砂に関する図書では、奄美市住用地区(中部採石)、瀬戸内町(緑原採石)、龍郷町(丸大産業)の3ヵ所の採石場があげられている。ただ、那覇空港第2滑走路造成の埋立事業では、大和村(大和採石)からも大量の石材が出されたので、これらの4ヵ所をまわった。
奄美市住用地区市(中部採石)の採石場。今はあまり使われていないようだが、この採石場では3年前、大雨で大量の土砂が海に流出し、サンゴの海が一面に汚濁されたことがある。
土砂全協のパンフより
嘉徳海岸、自衛隊節子駐屯地A地区を訪ねた後(これらについては後日報告する)、瀬戸内町の緑原採石場を見た。ここは大規模な採石場で、現在、フル稼働している。那覇空港埋立で石材が出された際には、県の調査により、ハイイロゴケグモやオオキンケイギク等の特定外来生物が見つかっている(ハイイロゴケグモは全ての採石場で確認された)。
西海岸にある大和村の大和採石場。山が急角度で高さ200mほど切り崩されている。
道路から中を見ていると、責任者らしいおじさんが出てきた。「一昨日、辺野古反対の集会があったようだが、その関係者か?」と、かなりピリピリしているようだ。それでも話をしているうちに落ち着いてきていろんなことを教えてくれた。
「辺野古へ出すのですか?」と聞くと、「何時になるか分からない」とのこと。「この土砂、単価はどれぐらいで売るのですか?」とも聞いたが、「普通はほとんど値段がつかない」という。今、防衛局が辺野古埋立に使う土砂を、5370円/㎥もの価格で購入していることを知ると、目を回すだろう。防衛局の設定した価格はあまりにひどいのだ。
大和採石から山を下りると思勝(おんがち)港がある。ここには、大量の石材や土砂が積み上げられたままになっていた。那覇空港埋立の際には、この思勝、古仁屋、前肥田の港から石材が搬出されたが、どこでもハイイロゴケグモが見つかっている。
石材の堆積場横には、3年前、那覇空港埋立の際に使われた特定外来生物の監視台がそのまま残っている。中には、「外来種チェックリスト」が張られていた。
一応の態勢はとっていたようだが、こんな監視台から目視しても、マングースが隠れておればともかく、小さなアリやクモなどが見つかるはずはない。
はっと気がつくと 思勝の港に数匹のイルカが泳いでいた(上の写真右側)。時々浮上して背びれを見せてくれる。この静かな港で土砂搬出が始まるのかと思うといたたまれない。
奄美市から北上、自衛隊大熊駐屯地に行く前に、丸大産業の採石場に寄った。ここも遠くからも目立つ広大な採石場だ。
今回、奄美大島で4ヵ所の採石場を見てまわったが、いずれも大規模なものだった。沖縄との距離を考えても奄美大島は辺野古埋立のための最大の土砂供給地になるのではないかと思われる。
住用地区や思勝地区など、どこも過疎化と高齢化に悩まされている。そんなところが採石場として目をつけられ、ますます地域の荒廃が進んでしまう。そして今度は、自衛隊の駐屯地にもされてしまった。
辺野古埋立で沖縄が破壊されると同時に、土砂搬出地でも同様の深刻な問題を抱えている。