大浦湾の地盤改良工事に関して設置された第2回技術検討会(11月29日)では、突然、護岸の背後に「軽量盛土」を使用すると提案された。詳細が公開されてから取り上げようと思っていたが、今もまだ詳しい資料が公開されないので、取りあえず、分かっている範囲で説明しよう。
大浦湾にはとんでもない軟弱地盤が広がっている。防衛局は、サンドコンパクションパイル工法やサンドドレーン工法で地盤改良工事をするとしていたが、今回、さらに護岸の内側に軽量盛土を使用すると言い始めたのだ。防衛局の資料では、護岸の背後110mもの範囲で厚さ8.0mの軽量盛土を行うとしている。
軽量盛土とは、土砂よりも軽量な盛土材を使って、軟弱地盤部の沈下を押さえるとともに、護岸にかかる土圧を軽減する工法である。発泡スチロールのブロックや発泡ウレタン、気泡混合軽量土などを使用する様々な工法があるようだ。気泡混合軽量土や発泡ウレタンの場合は、薬液を使ったり、大掛かりなプラントが必要となるので環境面への影響が危惧される。羽田空港D滑走路の埋立工事でも、軽量盛土工法が実施されたが、「固化処理土及び気泡混合処理土」工法であり、大浦湾では環境面からとても採用できない。
また、発泡スチロール工法は、1m×2m×0.5m程度のブロックを積み重ねるものだが、海面下では浮力の検討が必要となる。
しかし、大きな荷重のかかる滑走路の下を発泡スチロールで盛土しても強度は大丈夫なのか? 飛行場では、ガソリンや重油などが使用されるが、発泡スチロールはこうした有機溶剤で溶解してしまう。なんらかの事故でガソリンや重油が漏出した場合、大変な被害が発生するだろう。また、土砂と比べると設置費用も大幅に増えてしまう。
安部首相は今年1月、国会で「一般的で施工実績が豊富な工法で地盤改良工事が可能」と見えを切った。しかし、地盤改良工事はきわめて「難工事」(2019.9.6 岩屋防衛大臣)であるため、防衛局も施工方法には難渋していることがわかる。
防衛局は軽量盛土の詳細をすみやかに公表しなければならない。