はまだまだあって、とにかく治療が大変。その一つが生殖器疾患で、メスウサギは、まず確実に罹る、といっていいんじゃないかと思う。
小型草食の哺乳類で、多産なタイプの動物(まあほぼ全部そうでしょうけども)は、基本オスの方が長生きしがちで、その大きな理由がこの疾患。メスウサギが4・5歳になるともう危ない、子宮疾患をやること確実、で、これが死因になること多し。
子宮疾患には蓄膿症・内膜炎、まあ色々ありあますが、犬や猫にはほとんど起きない、のは若いうちにさっさと避妊手術をするから。婦人科系の病気の防止は、単純に取っちゃえばよし、なんですが、メスウサギの避妊手術は、どうなんでしょうか?
当院は基本受けていません。手術自体も術後も不安要素が多すぎ。他の病院はどうなんでしょうか?
ウサギの手術の怖い点は、まず、内臓が柔らかくて簡単にちぎれそうになる、という扱いの難しさがある。術後の怖い点は、手術の時縫合した糸を自分で食いちぎる事。犬猫ならエリザベスカラーでもつければいいんですが、ウサギやハムスター等々、もうすり抜けが得意ですからねえ、全く付けられない。首を締めあげるくらいにしても、外しちゃうんですよ。
ウサギには、術後服なんかも着せられない。体に何か付着するのをすごく嫌う生き物で、発狂して大暴れして2次災害、になりかねない。でね、上手い事脱いじゃうんですよ、無理に着せても。
じゃあどうするのか?当院では「皮内縫合」という奥の手を使います。この方法を採用するようになってから、皮膚離開は0。技術料はマシマシになりますけどね。
しかし、ウサギの手術はこれで安心、ではないのだ。術後、痛いなあ、それだけで排便が止まる。消化管うっ滞が起こりやすくて、これが再起動できるかどうか、もう一つのキーになる。再起動できなければオダブツ確定。
前述したけど、抗生剤も使いにくいし。
こんなんで安易に避妊手術なんか受けられません。
だから結局、子宮疾患と診断した時点で、どうするか、を話し合う、んですが・・・・。判断にぐずぐずしてて、そのうちオダブツで終了、もよくある話です。飼主の迅速で、腹をくくった判断が求められる、んだけど、それができない方が多いのだ。まあ、ウサギの治療費は、犬猫に比べてどんどん高額になるし、それで治るかどうかの確証もなし、痛い目に遭わせたくない、とかなんとか(病気を抱えてる方がしんどいと思うんですけども)、で、もめているうちにすぐ1週間くらいたっちゃうんですよ。
だから、ウサギを飼うにあたっては、ある程度突き放して客観性を持っていただきたいんですが。
ちなみに、子宮疾患は、内科的な治療でうまくいくケースがあまりない。薬を飲ませても飲ませてもうまくいかず、結局手術、となるのが大半。一種ホルモン疾患でもあるから「元から絶たなきゃダメ」という事なんですよね。犬猫でもそうなりがち、抗生剤を使いにくいウサギでは、ますますそう。だから、どこかで腹をくくってもらうしかない、と思うんですが、もう、無理に説得なんかできませんわねえ、判例が出ちゃっている以上。