なんとなくクラシテル

獣医という仕事をしている人間の生活の例の一。
ほとんどが(多分)しょーもない話。

問題行動

2018年03月17日 | 仕事
といわれているものについて、じゃあそれがどのような要因で「つくられるのか?」を考えてみると、こんな感じになりそう。



くくりは3つ。「犬」「飼い主」「環境」ですね。1つづつ検証してみましょう。

1)「犬」

 もうシンプル。何しろ動物です。単純なのだ。品種・ガタイ・本来の性格ーこれはかなり、そもそもの品種に依存しています・それに「今までされてきた事」が加わる。今までされてきた事に対して、前3つに基づいて行動しているわけ。

 例の「訓練所」にいた犬に、ある「品種」的な特徴がありそうなんだけど、お気づきでしょうか?原則「柴犬」あるいは「柴犬の雑種」というのが一番多い。若干ポメラニアンとかシェパードとかもいたけど、ほとんどが「雑種」というか、日本犬チックな外見の犬で、サイズ的には10㎏越えというところか。

 今までの自分の経験上も、トラブルになるのは、圧倒的に柴犬・または柴系の雑種が多い。次がゴールデンレトリバーの雄。追加してフレンチブルドッグやブルテリアのような犬。これには、明確な理由があるのだ。

 柴犬や日本犬の雑種については、他の犬種とはバックグラウンドの事情がだいぶ違うので、後で述べるとして。

 ゴールデンレトリバーなる品種は、シベリアンハスキーが大流行(これは、「動物のお医者さん」という罪作りな漫画の影響ですけど)から廃れてきて、保健所がハスキーだらけになった頃、でも、大型犬を飼いたい人たちが飛びついた犬だ。これの親戚のラブラドルレトリバーが盲導犬やら介助犬やらできびきび働いているのを見て、もうちょっと見てくれのいい犬、という事でゴールデンがはやったんじゃないかと思う。「おとなしくて躾がしやすくて」という見込みもあったでしょう。
 しかーし、それが大外れ、で困り果てるというケースが相次いだ。日本の一般家庭に大型犬は、基本的に「無理筋」なのだ。

 どういう事か?ここで「ガタイ」の問題が出てくる。ゴールデンやラブラドルという犬は欧米では、まだ「中型犬」扱いされちゃうんだけど、その理由は欧米人がグローブみたいな馬鹿でかい手を持ってて、そもそも欧米人のガタイが全然我々アジア人と違う、から。彼らは従って、犬に力負けしない。それから、背も高いから、犬に飛びつかれる程度でひっくり返るなんてことはないのだ。それに、土足で家を出入りして一日中靴を履いている彼らは、犬の「土足」にたいしても極めて鷹揚である。同じ理由で、彼らは床に物を置いたり、床にじかに座ったり、という事はしない。背が高いから、テーブルや椅子も背が高い。犬の顔も届きにくい。うまい具合に生活圏を分けることができる。

 ところが、日本人は違う。いいとこ170㎝位しかない我々にゴールデンの雄(30㎏以上ある)がワ~~イと飛びつくとどうなるかというと、後ろにひっくり返って頭を打つ。3㎏位の犬なら飛びついたって「まあ可愛い」で済むのに、30㎏の犬が同じことをすると「悪行」になってしまうのだ。
 ゴールデンには立派な尻尾がある。それを嬉しくて振り回すとどうなるかというと、コタツの上の物がすーべーてーなぎ倒される。コタツの上に食べ物を置くと、犬の真ん前に旨そうな食べ物が陳列されることになってしまう。誘惑が山ほど、やってはいけないことが小型犬の数十倍になるわけ。

 まあ、なんという理不尽

 それから、これは「品種」としての特徴になるが。「レトリーバー」という言葉の意味だが「retrieve:レトリーブ:回収する」からきている。狩りの獲物を回収するのが本来の仕事で、そのためなのか、とにかく何でもくわえてしまう。それだけならいいが、必ず齧る・壊す・家中をかじり倒してメッチャクチャにしてしまうのだ。子犬は基本的になんでも齧りたがるが、レトリーバー系の犬はそのレベルが最大級。大型犬だけに、やる事が凄まじい、と判断される。
 そのために犬に家をぶっ壊されて怒り心頭、という人が多く出た。元々そういう犬なんだからしょうがないでしょう、と言うのだが、そんなこと知らなかった、おとなしいと思ってたのに、と言い募った人たちが犬とケンカして、険悪になった挙句、犬を庭に追い出すそしたら今度は庭の土を掘り返しまくって南半球まで掘り進もうかって勢いになる。立派な芝生をめちゃくちゃにされて、さらに怒りが爆発、というパターンでしょうか。庭にも彼の安住の地はなくなって、で、最後は飼い主に咬みつくことになる。

 フレンチブルドッグやブルテリアの場合はどうだろうか。サイズ的には、日本人の手にぎりぎり負えそうなのだが、そうはいかない点がある。元々「闘犬」だったということ。闘犬上がりの犬だから、カッとなると手に負えなくなる。ブルテリアは、困ったことにその「カッとなる」のが表情から把握しづらい。熊もそうなのだが、無表情で怒る。ので、飼い主側からすると「いきなり本気で咬んできた」ということになるのだ。ピットブルテリアはその最終型。根っからの闘犬でケンカ慣れしてしているところへもってきて、テリア系の犬に特有の敏捷さがあるので(テリアからすれば、我々人間はスローモーションで動いているように見えるでしょうなあ)出し抜くのも上手い。これもね、そもそもそういう犬なんだから、しょうがないでしょ、となっちゃうんだけども。フレンチブルドッグの厄介な点は体形にある。ずんぐりむっくり、というガタイは可愛らしいのだが、取り押さえようとすると、あれほど難しい犬はない。なにしろエリザベスカラーを付けられないのだから。で、口がやたら大きいので、いざ攻撃モードに入られると、飼い主がどうにかするのは至難の業なのだ。

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