なんとなくクラシテル

獣医という仕事をしている人間の生活の例の一。
ほとんどが(多分)しょーもない話。

パコマ

2019年06月20日 | 仕事

で蹄を消毒してるという話を、装蹄師さんから聞いたこともある。この逆性石鹸液は元々真菌に対する効果は小さいし、そもそも殺菌効果も低レベルである。あと、「石鹸」という言葉に騙されがちだが、この薬剤には洗浄効果は全くない。有機物に当たると速攻効果がなくなるし、薬剤耐性を持つ細菌も報告されている。消毒剤としてはしょうもないレベルの薬剤と言わざるを得ない。のに、なんでパコマパコマいうんかなあ?

 効果がどうも現れない、となると、消毒剤の種類を変えるんじゃなくて、濃度を濃くする方にいくらしい。で、その方の手が酷く荒れてしまっていて。となると、同じたんぱく質でできている蹄も荒れてしまいますよね。

 以前、馬インフルエンザが全国的に猛威を振るったことがあったが、これもパコマと関係あるんだろう。だって、パコマはウイルスになんかぜーんぜん効果ない。だから、これを振りまいて殺菌したってウイルス性疾患である馬インフルエンザの蔓延を止めることなんかできるわけがない。ウイルス・細菌・真菌、微生物には様々種類があるんだけど、それにどう対応するか、どの消毒剤を使えばいいのか、こういうのをきちんと管理監督して指示するのは、獣医の役割なんだけどな。牛の先生の方がよほどしっかりしている。何しろ、牛=食品を扱っているし、それだけじゃなく、万一法定伝染病が出現した日には殺処分=全滅が待っているわけで。真剣みが違うんじゃないかと思うんだけど。まあ、馬の先生方はなめられてますからね、色々言っても、聴く耳を持たないオーナーも山ほどいるわけですがね。

 ということで、真菌にしっかり効果があって、その辺で売ってるもの、となると、

みたいな除菌アルコールスプレーになります。ところが、アルコールは装蹄の現場でとても使いにくい薬剤なのだ。引火性があるから。蹄鉄をも変形させる高熱バーナーのガス火が燃えてるすぐそばで、この薬剤を使うのはかなり問題がある。

 となると、塩素系の除菌剤になる。これにも問題はあるのだが。

 そうそう、「除菌」「消毒」「滅菌」「殺菌」っていう風に、有害細菌や真菌やウイルスをどうにかするのに、色々な用語が使われますけど、この使い分けもちゃんと知識として持っていないと、どうすればいいのか、混乱するばかりでしょうね。


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