

この1冊には子ども大人といった区分けを超えて、一人の人間に対しての強いメッセージが篭められている。何故巨卵が産み落とされたのか。何故巨鳥自らが人と戦わずして、仲間と共に無数の巨卵を産みつけ、去っていったものか。おしまいの見開きの左頁に描かれた巨鳥の眼の怖さの向うに、あなたが何を読みとるか、光なのか闇なのか…。そこに、産み落とされ増えつづける人間の象徴を見ようと、つくり出され増えつづける“核”の象徴を見ようと、如何なる“寓話”を読みとられようと―それは読者の判断というか、読みに委ねられている…。








字のない絵本
圧倒的な迫力
大地に大きなたまごがひとつ
なんだろうと人が集まってくる
あーだこーだといじくりまわしていると親鳥が現れ、愛おしそうにたまごを抱く
そのうちに雛がかえると人間は攻撃を始める
雛は亡くなった
すると巨鳥が集まりたまごを産み落とす
作者はモニーク・マルタン。バンサンの本名である。改めて本名で出版した一冊だそう・・・
最後のページを開いたら鋭い巨鳥の目があり、たまごだけが残った。
何かしてはいけないことをしてしまいそうな人間に、何かを伝えているような・・・そんなことを思った。


