去年の秋、ひょんなことから飯田の山からウメガサソウを一株持ち帰ることになった。コーヒーの空き缶に放り込んでおいたので、すぐ枯れてしまうだろうと思ったのだが、4ヶ月経っても枯れないどころか、新しい葉が開きだしたので、庭に転がっていた鉢に植えつけた。
実は飯田の松茸山を歩き廻っていた時、乾燥した尾根筋の松の若木の下にウメガサソウが生えていることに気が付いた。そばに
いたユズキ君にこれがウメガサソウだよと話していたら、へぇーと言って引っこ抜いてしまった。あ~と言って驚いていると、ユズキ君もびっくりしている。考えてみれば、山の中で花も咲いていない小さな草を抜いて驚かれるなんて思いもしなかっただろう。悪いことをした。
その場所は花崗岩の風化した乾燥した土地で、根もほとんど付いていないウメガサソウを埋めなおしても枯れるだけだと思い、シャツの胸ポケットに入れて車まで持ち帰った。そして車にあった boss の空き缶に川の水を入れて家まで持ち帰ったのだ。あれほど過酷な場所に生えていたのだし、その後の酷い条件にも耐え抜いたのだから、しぶとく生き抜いてくれるような気がする。
その後、まだ早いのは分かっていたがケスハマソウの自生地まで車を走らせ、様子を見に行った。
相変わらず沢山の株が斜面に見えていたが、花は見当たらない。踏みつけないように足許に気を付けながら周囲を探してようやく見つけた蕾。
これなら来週は花を開きそうだ。でも、満開になるのはあと1ヶ月くらいは先のことだろう。それでも元気な姿を確認できて安心して帰路についた。