ミドリニガイグチ Tylopilus virens (Chiu) Hongo
このところの暑い日々の間も、夕立などで適当な湿り気があったのだろう。鹿が壷のキャンプ場周辺の日陰には、イグチを中心に、結構キノコは出ていた。このくらい、瑞々しいミドリニガイグチであれば見間違う心配はないのだが・・・。
鹿が壷から千畳平に向かう山道の周囲を散策した。山側、谷川の斜面にはポツポツとアマニタ、イグチが出ている。
これはミヤマベニイグチではないと思ったのだが、冷静に見直せば・・・
ミヤマベニイグチ Boletellus obscurococcineus (Höhn.) Sing.
意外な場所に・・・
ムラサキヤマドリタケ Boletus violaceofuscus Chiu
アカヤマドリ Leccinum extremiorientale (L. Vassilieva) Sing.
逆光、ピンボケ、へたくそ!
散策の後、滝沿いにキャンプ場へ戻る途中にコゲチャイロガワリが沢山出ていた。
イロガワリと間違い、大いに喜んだのだが・・・・。味は悪くなかったそうだ・・・・。
コゲチャイロガワリ Boletus umbriniporus Hongo
キャンプ場のトイレ周辺には前回と同様、ヒメコウジタケが出ていた。
ヒメコウジタケ Boletus aokii Hongo
千畳平まで車で移動し、景色の良いところで昼飯をとった。食事中、雨が降り出し、雷もなっていたが長くは続かず、何とか、千畳平のキャンプサイト跡周辺を散策することができた。
ヤマイグチ Leccinum scabrum (Bull.) S. F. Gray
日陰になった散策路沿いに小振りのヤマイグチがポツポツと出ていた。そして、去年と同じようにホオベニシロアシイグチが幾つか出ている。
ホオベニシロアシイグチ Tylopilus valens (Corner) Hongo & Nagasawa
そして、コガネヤマドリがひとつ。
コガネヤマドリ Boletus aurantiosplendens T.J. Baroni
実は鹿が壷のキャンプ場周辺で「もう一つのコガネヤマドリ」を採取していた。珍しいこともあるものだ。並べて見てみると違いが良く分かる。
左:和名なし Boletus auripes Peck
右:コガネヤマドリ Boletus aurantiosplendens T.J. Baroni
右の赤味の強い方が本来のコガネヤマドリであり、学名は B.auripes Peck があてられていた。フィールドブックや幼菌の会のきのこ図鑑などにもそのように記載されている。しかし、B.auripes Peck は正しくは左に写っている、柄に顕著な網目模様のあるイグチに与えられていた名前だったということらしい。そして、現在はコガネヤマドリには Boletus aurantiosplendens T.J. Baroni の名前が与えられ、Boletus auripes Peck には正式な和名はまだ与えられていない。
左:2種の Boretus の傘裏
右:Boletus auripes Peck ピンボケ失礼!
2種とも若いうちは孔口を菌糸が塞いでいる。
次はさらにコガネヤマドリ達に良く似たイグチだ。これも鹿が壷の散策でサンプリングしていた。
キアミアシイグチ Retiboletus ornatipes (Peck) Manfr. Binder & Bresinsky
キアミアシイグチの場合は幼時でも菌糸が孔口を塞ぐという事はない。
そして、最後は・・・。
ニセアシベニイグチ? Boletus pseudocalopus Hongo??
柄、孔口とも青変性が強く、袋に入れて帰宅してから見てみると青変部分は赤変していた。
左:帰宅後の撮影
右:切断後 肉の変色はほとんど無いか僅か
26日に観察しニセアシベニイグチとしたものと肉の青変性など、違いがあるが、極端な管孔の短さやチーズのような濃厚な臭いは共通していて、ニセアシベニイグチの変異の範囲内と考えて良いのかもしれない。
イグチの発生は多く、ややこしいものが多かったが随分楽しめた!でも、きのこは本当にややこしい・・・。