予定ではここから山陽道に出て西に進み、福山に行くはずだった。どこを通って山陽道に出るか、迷って・・・交差点を右折した。国道に出る積りで車を走らせていると、2年前に訪れたミノコバイモの自生地の近くであることに気が付いた。
ミノコバイモの花は十分に満喫していたので通り過ぎようかとも思ったけれど、まだ時間に余裕があるので寄って行くことにした。車を停めるスペースには一台既に停まっていたが、人影もなく近所の人なのかもしれないと思った。
どの辺りに花が咲いていたのか、辺りを眺めて思い出す。そして、岩がゴロゴロしているが湿気があるのだろう、岩に苔のついた斜面の前に立った。やはり咲いていた。
この場所は花数は少ないが日陰で落ち着くところ。午前中の場所とは随分、雰囲気が違った。
座り込んで写真を撮っていると、不意に女性の声で話し掛けられた。姿は見えない。周囲を見廻すと、同じように屈みこんでミノコバイモの写真を撮りながら話している人の姿が見えた。桃色のウィンドブレーカーを着ている。こんな場所で女性が一人、ミノコバイモの写真を撮っている?その時、それが誰なのか予想はできた。
「ここには良く来るのですか?」 「これまでに2,3回」
「どこから来たのですか?」 「兵庫県」
「今日は一人で来られたのですか?」 「そうです」。やはり、予想通り。
だから、「僕はきのこ屋ですよ」と言って笑った。近々に何処かで出会うだろうとは思っていた。
その後、話しをしながら花を探し、写真を撮った。
この場所にはシロバナのミノコバイモが咲くのだと言う。そのことは友人から以前に聞いたことがあり、探したこともあったけれど見つからなかった。どうもその場所をご存知のようなので一緒に歩かせて貰った。
しばらく歩いていると、日陰の小貝母が咲きそうもない場所で「あった!」という声がした。見てみると・・・・
シロバナのミノコバイモ
兵庫県の西端の自生地でみるシロバナのミノコバイモは群生しているし、陽当たりの良い場所に咲くので、こんなに背が高くない。ここのシロバナは何と優美なのだろう・・・・
彼女は写真を撮るのに夢中だ。どうも、このシロバナはいつもの場所とは違う所に咲いていたらしい。新しい発見なのだ。
その後、「いつもの場所」へ行って見たが・・・・、咲いていないと言う。毎年、咲くものではないらしく、お休みの年もあるのだとか。そんなものかと思って、しつこく眺めていると・・・・
まだ、蕾だが、これはシロバナだろう。「見つけた!」。
それから、しばらく花を探して歩いた。
そして、最初のシロバナの場所に戻り、再度。
横からも、一枚。
良いものを見せて貰った。お礼を言って、再会を期して別れた。そろそろ、先を急がなければ。まだ、ホソバナコバイモの自生地を探しださなければならない。
つづく。