カラダよろこぶろぐ

山の記録と日々の話

もういちど屋久島へ・淀川小屋~黒味岳~宮之浦岳

2010-05-09 | ヤマのこと

2日目・今日は長時間の予定なので出来るだけ早く出発したい。
朝3:00におきて朝食を作り、混雑でゆっくり出来ないことを予測して昼食用にポットのお湯を作る。
結局モタモタしてしまい、出発できたのが4:50。
日が長いのはいいが、朝明けるのが遅いのは辛い。

 
小屋周りの第一陣はだいたい5:00前後の出発だった。真っ暗な中をヘッデン頼りに進む。
残念ながら暗すぎて淀川の清流を見ることは出来なかった。
少し急な登りを30分ほどあるくと、日の出時間(5:30頃)とともに尾根に出た。


 
そこからさらに30分ほど進むと「高盤岳展望所」の案内が。
左に掻き分けすぐ岩があり、その展望岩に乗ってみると・・・



「高盤岳(コウバンダケ)」のてっぺんにみえる「トーフ岩」おお、これが良く写真で見る岩!
手のひらに乗せた豆腐に包丁を入れたときに、広がるあの感じ。
昔、地中にあった花崗岩塊が隆起した時、地上に出る瞬間の衝撃で割れ目が入った。
その後、多量の雨で周囲が流されて、現在の岩の形になったらしい。

ガスがかかっていましたが、肉眼でははっきりとその切れ目を見ることが出来ました。


ルートに戻り、数歩進むと今度は右手に展望所、の案内板。
行ってみたけど残念ながらここからは何が拝めたのか?良く解りませんでした。


そこから10分ほどで「小花之江河(コハナノエゴ)」また10分ほどで「花之江河」に到着。
標高約1630mにある高層湿原です。ここも前回心残りだった場所のひとつ。

  
「この湿原はおよそ2600~2800年前にできたといわれています。
湿原にはコケスミレやヤクシマホシクサなど珍しい植物も見られ、学術用極めて重要な自然生態系です。」
と書いてあります。
木道の下にはネジネジの木の根っこやミズゴケ。

ここから「黒味岳」が望めるらしいのですが・・・どうも天気が悪い。
同じ方向に進む登山者がみな口々に「おかしいなぁ・・今日は晴れの予報だよね?」と。
基本雨オンナの私、なんだか不安になってきました・・・



 
ガスが切れないまま、「黒味別れ」に着いてしまいました。
「このガスじゃ、せっかく登っても何も見えないよね・・・どうする?」
と一瞬悩んだけど、もともと雨が降るのは当たり前の屋久島、天気じゃなければ行かないなんて申し訳ない、
とザックをデポして予定通り黒味岳目指して歩き始めました。

ロープのある場所が次々出てきますが、花崗岩は滑りにくいので、
登りなら私でもロープに捕まらなくとも登ることができます。


 
登り30分の割にはなかなかの歩き応え(笑)でも背中が軽いのでグングン進めます。
しか~し!歩けど歩けどガスガスガス・・・


そして頂上に到着!みごとなガスっぷりです。



正面から見るとこんな感じ。

ちょっと待ってみたものの、切れ間は見当たらず。
風がないのでラッキーなのかもしれませんが、それでも結構寒い。
諦めてルートに戻ります。



戻る途中、さっきまで全く見えなかった周りの風景が少しずつ見えてきた。
亀サンがいたのね・・・
緑の濃淡に時折にょっきりと白骨樹、ユーモアたっぷりの花崗岩たち。
山頂からの眺めは残念だったけど、ガスの下に見えた山肌はそれはそれは美しかった。


 
黒味分岐に戻りちょっと休憩をし、8:40再スタートです。
割と平坦な登山道を進むと、岩が多くなって景色が変わりました。



  
この辺りが「投石平」ガスっていても素晴らしい登山道なのが良く解ります。
たくさんの岩の間を澄んだ水が流れ落ちていく、まるで自然庭園。
山の中なのになんてみずみずしいんだろう。



 
何人もの人が雨宿り出来そうなくらい大きな岩「投石岩屋」
このあたりはいくつもの大岩を越えていかなければなりません。
岩にステップを切ってあるところ、ロープがかけられた岩など。
重いザックと腕力のない私は「はっ!」とか気合を入れないと越せません^_^;
腿を上げることが多くなると一岩一岩が疲れ、その度に体力メーターは激減し・・・


 
もうハラペコ お腹の虫がグ~グ~
仕方ないよ~、3:00に食べた朝食エネルギーなんかもうすっかり使っちゃったもん。
「ヤクシマアセビ」がポップコーンに見える・・

でも見下ろす投石岩屋あたりの風景はとても美しく、空腹も(?)忘れます。


 
そして一つ一つ岩を越えていたら、なんだか急に目の前が明るくなり・・・
急に現れた青空に、登山客がみな一斉に「お~~~っ」と。



振り返るとみるみるガスが流されて・・・「黒味岳」の頂上が姿を現しました。
頂上にいる人たちに手を振ります!


さっき登っていたのはあの岩の上だったんだね!
すご~~い!キレイー!!ハラペコも忘れてテンション
なんだかんだ言っても、やっぱり晴れると気分が全然違います。


天気に気を良くして進みます。遭難碑に手をあわせ、見上げる右手に「投石岳1830m」



そして「安房岳1847m」「翁岳1860m」と右上に奇石が続いてとにかく楽しい!
山頂は通らず、左を巻く様に進んでいきます。

最後の水場を過ぎると、翁岳分岐?岩が出てきました。
列をなして歩いているので、タイミングをはずすとなかなか休憩ポイントがありません。
ハラペコのまま進んできた私は、多分あれが奥岳と確認できたあたりで・・・

岩の上に腰をかけ、おやつ休憩することにしました。
休憩している間もどんどんと登山者達が進んでいき、なぜかしらちょっと焦ります。
「こんにちは~」と声をかけた団体さん、あ、ガイドツアーなのね、と思ってみていました。
なぜすぐにガイドツアーだとわかったんだろう?その時は深く考えもしませんでしたが・・・


岩に腰掛けながら見上げる奥岳の、なんて雄大で美しいこと・・・

このまま登ってしまったら、今日の楽しかったトレイルも終わってしまうのかと思うと・・・
なんだかとても寂しくなって、このままずっと動きたくない、到着が遅くなってもかまわない、
ずっとずっと眺めていたい、そんな気持ちになりました。




でも先に進まなきゃ。山頂目指して最後の歩きのスタートです。
この岩の間を流れる水の透明度がすごいです!このみずみずしさが屋久島ならでは、なのでしょう。



さあ、最後の登りへ。

 
翁岳分岐を過ぎると、そこにはもう離れがたい風景が広がっていました。
いままで見てきた岩たちが、さらにまるでいまにも動き出しそうなカタチですぐ側に・・・


 
モアイと呼ばれる岩や、短い眉毛の笑顔の君。
絶妙なバランスでただちょこん、と乗っかっているだけのような卵石。どれもこれもユーモアたっぷりで・・・



話はそれますが、この短い眉君、1998年ごろはもっと横に太っていたんですね。
隣にあった岩たちはどこへいったのでしょう??う~ん、謎



草原状のヤクザサ帯、右も左も後ろも前も、踊りだしそうな巨岩たちが。
なんて楽しいトレイルなんだろう良い意味でとっても滑稽、思わず笑みがこぼれてしまう。
こんな山、初めて・・・



もう、嬉しくて楽しくて、本当に前に進みたくない。このままずっと行ったり来たり歩いていたいよ。
楽しい~、サイコー~~!となぜか叫びながら登る私でありました。


振り返れば、翁岳、安房岳、投石岳と、歩いてきた道が見える。
ありがとう、今日は本当に楽しかった。こんなに楽しませてもらった山ははじめて。
海岸線のどこからも見ることが出来ない屋久島のど真ん中に、
こんなに感動する素晴らしい景観が広がっていたなんて!

何度も写真で見ていたはずの風景。
だけどやっぱり写真じゃ解らない、やっぱりココにきて五感で感じて・・・来て良かった。
はじめて湧き上がる感動だった。

 
そんな感動のゴール・・・と思ったら見えていたのは「栗生岳1867m」だった
岩の中には祠が祀られていました。



はい、仕切りなおし。
あの人がたくさん見えるところが多分・・・山頂。


山頂ではきっとガスが切れるはず!そう願いながら登ってきた最後の登り。
振り返ると・・・あれ~~ガスがどんどん上がって来るぅ~~~


あと30mで山頂なんだって!!






タノム、ガスこないで・・天気よ、もってくれ・・・






オネガイ・・ぃ・・・・・・・







・・・11:05、宮之浦岳到着。山頂はすっかりすっぽりガスの中
あたり一面ぐるっと360度、大展望&海が見えるのは、そう私「宮之浦岳」
だけど今日はガスなのよん、ゴメンネ。
しかもちょっとやそっとじゃ切れそうもない・・・
雨(ガス)オンナの本領、なにもここで発揮しなくても、ね。


山頂は狭く、そしてものすごい混雑だった。ハラペコだったけどとてもゆっくりご飯を食べれる状況じゃなかった。
日が出ないので寒いし、ちょっと休んだら降りよう、と思って周りを見渡すと・・・

ダンナと私、同時に気づいた


そうだ、さっき見かけてガイドツアーだと思ったのはガイドさんを知っていたからだ。
彼は4年前、私たちがはじめて屋久島に来た時、縄文杉へ案内してくれたガイドさん。


なんという、偶然。30分違っていたら会えなかった。


声をかけたらビックリしていた、さすがに毎日何人も案内しているから覚えていなくて当然だが、
すぐにあの日のように親切にこれから先のコース状況、
小屋の様子、明日の縄文杉ルートの進み方など熱心に教えてくれた。

4年前、柵のないトロッコ橋を渡るのが怖くて、ガイドさんのザックの後ろをぎゅっと握り締めて歩いたあの日。
まだ縄文杉までしか歩けなかった私たちが、今日はテント縦走してきたこと、
ネイティブビジョンさんのプロに徹したガイドのおかげで屋久島が好きになり、
忘れられず再訪したことを話すと、彼も喜んでくれた。
今日はお客じゃないのに、進んであの日のように写真を撮ってくれた。


やっぱり今日ここへ来ることが、神の導きだったってことが証明された瞬間だった。



(喜びの再会・記念撮影
予想もしなかった嬉しい再会ができた「宮之浦岳」
山頂はガスで何も見えなかったけど、私たちにとっては今日が最高の登頂日和だ。
あの日から少しだけ成長できた自分と、恩人に会えたような気分で心は晴れ晴れとしていた。

文字制限の為後半へ。長くてスイマセン^_^;

【1日目:淀川登山口→淀川小屋編
【2日目後半:宮之浦岳→新高塚小屋編