(左:下り始めはやや急坂 右:おや?燕のイルカ???)
偶然の再会、ガイドさんにお礼を言い、またいつか会えたら!とサヨナラをした。
私たちは休憩できそうな場所を求めて山頂を後にします。
ガイドさんたちは宮之浦岳日帰りツアー、とのこと。そんなことも出来たんだね。
軽装の人も多いな、と思っていたのは同じように日帰りの人たちだったらしく、
先ほどまでの混雑はどこへやら、宮之浦岳の先からぐっと人が減った。
人気の「永田岳」がガスの中から見え隠れしている。
ホントに亀の手に似てるな~~~(亀の手=屋久島の珍味で貝のこと、見た目・・・)
(左:眼下にカラフルなザック 右:焼野三叉路・永田岳を見ながら昼食)
山頂から木道を下ってくると、前方に赤や黄色のカラフルな置物が見えてきた。
そこが「焼野三叉路」永田岳・縄文杉方面への分かれ道。
その置物はザック。みんなそこにザックをデポして「永田岳」をピストンするのだ。
ガイドさんにも「永田岳、オススメですよ~」と言われていたのだけれど、
三叉路から往復約2時間弱、結構きついというのも聞いていた。
今日は元気だけれど、自分のレベルを考えた時、
ここを往復して未知の新高塚小屋までたどりつける自信がなかった。
なので、予定通り三叉路で昼食にし、眺めただけでこの続きは次回・・・とした。
快晴だったら無理にでも行ってた気がするけど・・・
「永田岳」の向こうは「ネマチ」宮之浦岳までの道とは見えるものが違ってきた。
なかなか険しい山稜のように見える。
なんだかんだ言っても往生際が悪い私、もしかして青空が見えるかも?
と宮之浦岳山頂方面を何度も振り返った。
でもやっぱりガスの中・・・今日はもう駄目なのかな。
天気のことはもう諦め、ゆっくりとヤクザサ歩きを楽しみながら進んでいくと、
前方でサングラスをかけ、睨みをきかせたデカイヤツがこっちを見ているではないですか
わ~人相悪い。サングラス&頬に傷・・・ブラックジャックか・・・(古)
近づいて顎から見上げるようになると・・・凄みもなくなり・・・
彼の正体は「岩屋」だった。ここが「平石岩屋」
さっきと同じように岩屋の中には祠。屋久島も昔から山や森を神が宿る場所として崇め、
それぞれの集落で信仰の対象となる山に、年二回岳参りする風習が今もあるそうです。
岩屋の東側は開けていて、大きな石の上に腰掛けて眺めを楽しめる。
ここもあいにくのガスで見えなかったが、見えていたらもっと気持ちがいいだろうな~。
ここまで歩いてきて、屋久島の山は慌てて歩くんじゃもったいない、ピークを目指すだけでも寂しすぎる、
ゴロゴロあちこちに転がる巨岩に、思い思いの場所で大きく手足を伸ばし、
山と空と海と森を体中で楽しみたい、そんな素晴らしいフィールドだと感じた。
そしてふと、「やっぱり私はこんな山が好きだ、それでいいじゃないか。」と思った。
苦手な高度感のある場所や、ザレ場ガレ場も気の抜けないトラバースもない。
転げ落ちそうな急坂も、何が何でもあのピークを、という強迫観念もない。
ただただ雄大で個性的な眺めの中、伸び伸びとひたすらその先の風景と出逢いを求めて歩くこと、
それが出来る、楽しく歩ける、こんな山歩きが好きなんだ、とつくづく思った。
私は挑戦することを山に求めているわけじゃないから、
もう、苦手な山に無理していくのは辞めよう(笑)
高度恐怖症で怖がりの臆病者でいいんだ、歩くのは、私だから。
なんでそんな簡単なことに気づかなかったんだろう、気づかせてくれてありがとう、屋久島。
木や花やヤクシカやヤクザル達も、思い思いに屋久島で生きている。
シンプルにただ、その時の自分を生きるだけ。大自然に教えられることだらけだね。
・・・ま、そんな思いもまた忘れて、よく調べず怖い山登っちゃうんだろうけど(笑)
ガイドさんにテントを持っているなら(小屋の混雑は気にせず)大丈夫、
と教えてもらったので、後半はさらにゆっくり歩いてきた。
前方に又、大きな岩が見えてきた・・・結構ぎょっとするコワさだぞ(笑)
近づくとさらにスゴイ。「坊主岩」というらしいが、私にはカブトガニか?はたまたライダーか・・・
坊主岩の向こうは断崖絶壁らしい。そして谷を挟んで反対側には「大ゴルジュ帯」らしき険しい絶壁が見える。
こちら側も色んな楽しみの一杯詰まったルートだった。
標高も下げてくると「第二展望台」「第一展望台」という標識が現れ、
周りの木がだんだん高くなってくる。
展望台に上がってみたが、やっぱりガスで何も見えなかった。
こんなステキなトレイルを歩けることにも、もう終りが近づいているのだと思うとホントに寂しくて・・・。
もうすぐ小屋だと解っていたが、もったいなくてまた木の根に腰掛けてお茶してしまった。
ヒメシャラの森を越えると、賑やかな声が聞こえてきた。
(左:小屋前のデッキ 右:水場は徒歩10秒、奥の緑のバケツのところ)
14:35、「新高塚小屋」到着。まだ早い時間にもかかわらず、覗いた小屋の中は人の熱気でムンムンだった。
もう、2人も入るスペースはなさそうだ・・・
デッキの上もこの通り、テントを張るスペースはない。
仕方なくまた、空き地を見つけテント設営。縄文杉方面からの人もいるので昨日よりさらに混んでいた。
昼間のガスは消え、昨日と同じように西日が差し込んできたテント場。
明日はきっと晴れだろう、うん、多分そんな気がする・・・。
背負ってきたビールを冷たい山の水で冷やし、宮之浦縦走に乾杯!なんだけど、
達成感よりも、なんだか終わってしまったことの寂しさが先立って言葉がなくなってしまった・・・。
テントから出てみると、ヤクシカが様子を伺いに覗きにきていた。
夢のような1日があっという間に終わった。
【2日目】淀川小屋4:50→黒味別れ7:15~黒味別れ8:40→宮之浦岳11:05~11:30
→平石岩屋12:50→第二展望台13:45→新高塚小屋14:35(泊)
(休憩・昼食含む)
【1日目:淀川登山口→淀川小屋編】
【2日目前半:淀川小屋→黒味岳→宮之浦岳編】
【3日目:新高塚小屋→縄文杉→白谷雲水峡編】
【4日目:記録編】