今日は2015(平成27)年3月11日です。あの東日本大震災から、ちょうど4年が経過しました。
その間、復興は着々と進められているのでしょうか?
復興特別所得税は現在も続いているのに対し、復興特別法人税は早々と終了させられました。「これで財源は大丈夫なのか」と思っていると、復興予算の未消化が言われることもありました。現在の国会で最初に、しかも現在のところ唯一成立した法律である「地方交付税法の一部を改正する法律案」(内閣提出法案第1号。2月12日に法律第1号として公布)の提案理由は「地方財政の状況等に鑑み、平成二十四年度の当初予算及び補正予算で地方交付税の総額に加算し、東日本大震災に係る復興事業等の実施状況により平成二十五年度に繰り越した震災復興特別交付税のうち、同年度の決算において不用となった金額を減額するとともに、平成二十六年度における東日本大震災に係る復興事業等の実施のための特別の財政需要に対応するため、同年度分の震災復興特別交付税について加算措置を講ずる等の必要がある。これが、この法律案を提出する理由である」となっています。
未消化と言っても、そこには様々な原因があるはずです。また、どのように考えても震災復興とは無関係と思われる事業への流用例が多数明らかになったこともありました。一方で、福島第一原子力発電所など、未だに解決の目途も立たないような問題も多く残っています。帰還したくともできない人々、無人のまま捨てられかねない地域(表現が悪いという批判は甘んじて受けます)、地域による復興状況の格差、など。新たに発生している問題も少なくありません。
租税関係に携わる方なら御存知かもしれませんが、最近まで、税務六法には阪神・淡路大震災関連の特別法が掲載されていました(平成26年版にはありません)。「電子政府の総合窓口e-Gov」には、現在も「阪神・淡路大震災の被災者等に係る国税関係法律の臨時特例に関する法律」(平成7年2月20日法律第11号)などが掲載されており、こと税制という分野に絞っても、復興には長い時間が必要とされることを痛感します。
日本人が神話を好むかどうかわかりませんが、安全神話を好む傾向があることは否定できないでしょう。東日本大震災により、この神話は崩壊したはずでした。しかし、実際にはまだ生き続けているのかもしれませんし、復活したのかもしれません。安全神話の復興だけは御免被りたいところです。
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〔私のサイト「川崎高津公法研究室」の「租税法講義ノート」〔第二版〕から「19 法人税額の計算、および同族会社に対する法人税など(および復興特別法人税)」 を、一部修正の上で引用しておきます。近々、全体的に内容を改めるつもりであるためです。〕
3.復興特別法人税
2011(平成23)年12月2日、法律第117号として「東日本大震災からの復興のための施策を実施するために必要な財源の確保に関する特別措置法」(東日本大震災復興財源特別措置法)が公布され、一部の規定を除いて即日施行された。この法律により、復興特別所得税および復興特別法人税が創設されており(同第1条を参照)、復興特別法人税については課税の「対象」が「法人の各課税事業年度の基準法人税額」とされ(同第43条)、課税標準は「各課税事業年度の課税標準法人税額」である(同第47条第1項。なお、同第2項も参照。「法人」の範囲については同第40条および同第41条も参照されたい)。
「課税事業年度」は、同第45条第1項により、原則として「法人の指定期間内に最初に開始する事業年度開始の日から同日以後二年を経過する日までの期間内の日の属する事業年度」とされる(当初は「三年」であった)。また、「指定期間」は、同第40条第10号により、「平成二十四年四月一日から平成二十六年三月三十一日までの期間」とされる(これも当初は「平成二十四年四月一日から平成二十七年三月三十一日までの期間」とされていた)。
従って、既存の法人のうち、事業年度を4月1日から翌年の3月31日までとする法人、すなわち3月末決算法人については平成25年3月期および平成26年3月期が「課税事業年度」となる(やはり、当初は平成27年3月期も「課税事業年度」であった)。また、事業年度を10月1日から翌年の9月30日までとする法人、すなわち9月末決算法人については、平成25年9月期および平成26年9月期が「課税事業年度」となる(同じく、当初は平成27年9月期も「課税事業年度」であった)。
〔なお、「指定期間」内に設立された法人などについては、同第45条第2項各号を参照されたい。〕
次に、基準法人税額は、次のように定義される。
「連結親法人以外の法人」:「当該法人の法人税の課税標準である各事業年度の所得の金額につき、法人税法その他の法人税の税額の計算に関する法令の規定(同法第六十七条から第七十条の二まで及び第百四十四条の規定並びに租税特別措置法第三章第五節及び第五節の二の規定を除く。)により計算した法人税の額(附帯税の額を除く。)」(東日本大震災復興財源特別措置法第44条第1号)
「連結親法人」:「当該連結親法人の法人税の課税標準である各連結事業年度の連結所得の金額につき、法人税法その他の法人税の税額の計算に関する法令の規定(同法第八十一条の十三から第八十一条の十七までの規定並びに租税特別措置法第三章第十七節及び第十八節の規定を除く。)により計算した法人税の額(附帯税の額を除く。)」(東日本大震災復興財源特別措置法第44条第2号)
ここで「連結親法人」とは「法人税法第二条第十二号の七の二に規定する連結法人のことである」(東日本大震災復興財源特別措置法第40条第5号)。
税額は「各事業年度の課税標準法人税額」に10%の税率を乗じて得られた金額である(同第48条)。また、復興特別所得税額の控除が認められており(同第49条)、法人に復興特別所得税が課された場合には、その税額を復興特別法人税から控除することが可能である。従って、復興特別所得税額などの税額控除を適用したが控除しきれなかった場合には還付されることとなる。