今から10年ほど前、2005年6月25日、私は、当時購入して間もなかった5代目ゴルフGLiを運転して、東名高速道路を川崎から清水まで走り、三保の松原へ行きました。
三保の松原を歩くと、海岸に程近い所ですが、少々目立ちにくいような場所に「羽衣の碑」があります。しかし、実は結構有名な記念碑なのです。
マルセル・ジュグラリス(Marcel Giuglaris)の詩の碑文で、フランス語で書かれています。
Le vent des vagues
De la plage de Miho
Parle de celle dont à Paris
Hagoromo a emportè la vie
En l'ecoutant mes jours
Pourront s'enfuir.
この詩は、亡き妻の舞踊家エレーヌを偲んで書かれたものです。エレーヌは、結局日本の土を踏むことはできなかったのですが、能に魅了され、「羽衣」を上演するまでに至ったのでした。その上演にも大きな役割を果たした夫マルセルは、亡き妻の、まさに遺志を胸にして、1950年代後半に来日し、1982年まで滞在しました。ジャーナリストであり、また、ユニフランス・フィルム駐日(極東)代表として、日本の映画をフランスに紹介するという役割などを果たした、とのことです。
こちらは、ジュグラリスの詩の邦訳です。なお、この記念碑ですが、実はエレーヌの遺髪と爪が埋められているとのことです。
三保の松原には、何箇所かわかりませんが「二世の松」があり、このように案内板が立てられています。樹齢がどのくらいになるのか、多くの松も老齢化しているようです。あと何年か経てば、立派な木に成長するのでしょう。もっとも、時間はかかるでしょうが。