ひろば 川崎高津公法研究室別室

川崎から、徒然なるままに。 行政法、租税法、財政法、政治、経済、鉄道などを論じ、ジャズ、クラシック、街歩きを愛する。

熊本大学の法科大学院が募集停止を決定した

2015年03月14日 11時07分39秒 | 受験・学校

 先程、西日本新聞社のサイトを見ていたら、熊本県のニュースとして、昨日(3月13日)付の「熊大法科大学院、募集停止を決定」(http://www.nishinippon.co.jp/nnp/kumamoto/article/155727)という記事が目に入りました(最終更新は今日の0時3分付)。

 昨日、熊本大学の役員会が開かれ、2016年度から法科大学院(正式名称は「大学院法曹養成研究科」)の学生募集を停止することを決めました。昨日付で、熊本大学も「熊本大学大学院法曹養成研究科(法科大学院)の学生募集停止について」として発表しています。

 これにより、日本国内の全法科大学院としては25番目、国立大学の法科大学院としては7番目、九州では久留米大学および鹿児島大学に続いて3番目(国立大学なら2番目)の募集停止となります。

 このブログでも2月1日21時47分33秒付で「熊本大学の法科大学院も募集停止に向けて調整か」という記事を載せました。そこで問題を記しましたが、改善の見込みはないということでしょう。

 誤解されてはなりませんので記しておきますと、募集停止がなされて即廃止ということにはなりません。募集停止の決定がなされても、在学生はおりますから、全学生が修了することにより、廃止となります。現在のところ、法科大学院で完全に廃止となったのは姫路獨協大学大学院法務研究科のみです。また、平成27年度に大宮法科大学院大学も廃止となりますが、こちらは桐蔭横浜大学大学院法務研究科に統合されることとなっています。

 熊本大学大学院法曹養成研究科は、平成28年度からの学生募集を停止します。従って、今年の入試は行われません。

 「熊本大学大学院法曹養成研究科(法科大学院)の学生募集停止について」によると、司法試験合格者は42人、このうちの24人が熊本県内で弁護士として活動しています。しかし、「法科大学院全体を取り巻く環境は、司法試験の年間合格者の総数が、当初の目標の3,000人に届かない状況が続き、法科大学院志願者についても、全国的に大幅な減少が止まらない状況にあり」、「このような状況の中で、平成25年7月には法曹養成制度関係閣僚会議において『法曹養成制度改革の推進について』が決定され、司法試験合格者の目標数3,000人が撤回されたところです。これを受け、同年11月には文部科学省より『法科大学院の組織見直しを促進するための公的支援の見直しの更なる強化について』が示されました」と述べられています。「熊本大学の法科大学院も募集停止に向けて調整か」においても記したように、熊本大学については、法科大学院の補助金の基準額算定率が60%とされており、Dランクと位置づけられました。加算額もありません。学生数が多ければ、まだ何とかなるかもしれません。しかし、入学者数も少なく、定員割れが続いている状況では、存続の意味がないということでしょう。

 私が単に見落としているのか、それともあまり大きく報じられていないからなのか、よくわからないところもありますが、補助金の基準額算定率でDランクまたはEランクと位置づけられた法科大学院では、既に、次に示すところが募集停止を決めています。「熊本大学の法科大学院も募集停止に向けて調整か」に示したところの補充も兼ねています。

 D(60%):静岡大学、熊本大学、東洋大学

 E(50%):京都産業大学、愛知学院大学

 74校中の25校が募集停止を決めたということは、3分の1強の法科大学院が消滅に向けて動いているということです。制度発足から11年しか経っていないのにこの状況であるということは、一体何を意味するのでしょうか(私なりの答は、今回、記さないでおきます)。しかも、募集停止はまだ続くことでしょう。

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渋谷で興味深いミニマルを買いました

2015年03月14日 09時32分03秒 | 音楽

 10日、渋谷の東急百貨店本店にあるジュンク堂に行く用があったので、文化村の地下1階にあるナディッフ・モダンにも寄りました。そこで4枚のCDを買ったのですが、とくにオランダのレコード会社から発売されている(日本では東京エムプラスが輸入している)CDを気に入ったので、紹介しておきます。

 InnerAct, Canto Ostinato Audio Visual  Canto Ostinato, a composition by Simeon ten Holt (EtcetraNow, KTD 6007)

 税込みで2700円でした。

 オランダ人の作曲家、シメオン・テン・ホルト(1923~2012)が1976年から1979年までの間に作曲した「カント・オスティナート」という曲を、ハープとエレクトロニクスとヴィジュアルで演奏したものが収録されています。もっとも、ヴィジュアルはCDで楽しめませんので(英語の解説が書かれている紙に掲載されている写真がヴィジュアルによる「演奏」の一部かもしれません)、ハープとエレクトロニクスの音響に包まれて体験をすることとなります。CDに付くタスキには、同曲のハープ独奏、2台のピアノによる演奏、このそれぞれのCDも発売されていると書かれていました。

 この「カント・オスティナート」という曲は、106のループ(何小節かを組み合わせた一節というべきでしょうか。英語では細胞や小区画を意味するcellという言葉も使用されています)から構成されています。それぞれのループは、演奏者の解釈により、何回でも繰り返されるようになっています。また、繰り返すとともに、演奏者がアーティキュレーション(articulation.音のつなげ方や切り方などを意味する)、フレージング(phrasing)、強弱法(dynamics)を決めていきます。また、どのループを演奏するかも演奏者の自由に委ねられているようで、このCDでは1から84までと106が演奏されています(一応は5トラックに分けられていますが、休止は一切ありません)。

 どのループも4分の5拍子か8分の10拍子か、いずれにしても5拍子系です。変拍子(複合拍子とも言われる)の一つで、ロックやポップスでは極端に少ない上に不自然に聞こえるものばかりですが、クラシックや一部のジャズではそう聞こえないのです(ジャズではTake Fiveが有名ですね。クラシックならチャイコフスキーの交響曲第6番第2楽章を代表例としてあげられるでしょう。余談ですが、チャイコフスキーの弦楽四重奏曲第1番第1楽章、バッハの無伴奏ヴァイオリンソナタ第1番第4楽章は8分の9拍子で、これも見事なものです)。「カント・オスティナート」の5拍子はストレートな5拍子で2+3とか3+2となっていないのですが、ハープとエレクトロニクスが醸し出すハーモニーのために、美術館などでBGMとしてかかっていても何の違和感もない仕上がりとなっています。書店などでかかっていてもよいでしょう(但し、なるべく小さい音量とすることが条件です)。ナディッフ・モダンで売られていたことも納得できます。

 勿論、部屋でのBGMとするにも絶好の曲です。

 このCDでの演奏者を記しておきしょう。

 グウィネス・ウェンティンク(Gwyneth Wentink):ハープ

 ウーター・スノイ(Wouter Snoei):エレクトロニクス

 アーノート・ハルスカンプ(Arnout Hulskamp):ヴィジュアル

 (今回、音楽用語については、湘南弦楽合奏団のサイトにある「音楽用語英和辞典~音楽の英語表現~」を参考にさせていただきました。〕

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