新型コロナウイルスの状況はますますひどくなっていますが、このブログでは滋賀県の近江鉄道の話題を何度か取り上げていますので、今回はその話です。
2020年3月25日の18時10分付で西日本新聞社のサイトに「赤字の近江鉄道が存続へ、滋賀」という記事が掲載されていました(https://www.nishinippon.co.jp/item/o/595006/)。元は共同通信社配信のようです。
2019年11月5日、近江鉄道沿線地域公共交通再生協議会の第1回会合が開かれたことは、2019年11月10日13時10分00秒付の「近江鉄道沿線地域交通再生協議会の第1回会合が開かれた/びわこ京阪奈線構想は名実ともに破綻した」において取り上げました。それから5か月半程が経過し、3月25日に協議会が開かれました。
今回はまだ具体的な内容などが決まっていないのですが、近江鉄道の全路線を存続させる方針が決められました。「通学や日常生活で利用頻度が高い」と判断されたようです。
2019年11月1日に、私は近江鉄道の全路線を利用しました。そのことについては「近江鉄道全路線乗車記」の(1)、(2)および(3)として記しておりますが、潜在的な鉄道利用可能性は高いと感じました。沿線に工場や住宅地が多いこと、沿線市町の人口、などを考え合わせた上での感想でもあります。2019年4月において、彦根市および東近江市の人口は11万人を超えていますし、近江八幡市の人口も8万人を超えています。また、米原駅、彦根駅および近江八幡駅で東海道本線に乗り換えることができますし、貴生川駅では草津線に乗り換えることができます。東海道本線には新快速が走っていますから京都市や大阪市へは、やや遠いことは否めないながらも通勤・通学が可能な範囲と言えるでしょう。草津線も、朝夕だけですが京都行きの電車がありますし、平日の朝だけですが大阪行きの電車(東海道本線では快速)もあります。京都駅の時刻表を見ると、草津線に直通して柘植駅まで走る電車も夕方に何本かあります。
他に様々な側面がありますから、詳細に検討する必要はあるのですが、条件次第では好転する、とまでは行かなくとも改善の余地はあると思われます。沿線人口だけで考えてみても、近江鉄道より条件の悪い鉄道路線は他にいくらでもあるでしょう。
勿論、存続となれば、滋賀県や沿線市町の財政にも関わるだけに、相当の準備と覚悟が必要となります。単純な補助金政策では無意味に終わることが多いだけに、上下分離方式を採るのか、などの検討も必要になります。或る意味で幸いなのは、隣接県に参考例があることでしょう。具体的には福井鉄道、養老鉄道、伊賀鉄道、四日市あすなろう鉄道というところですが、最も参考になるのは福井鉄道かもしれません。勿論、別に隣接県に限定する必要もないので、一畑電気鉄道や岳南鉄道が行った分社化という方法もあります。
もう一つの鍵は西武グループです。近江鉄道の存続にはどうしても西武グループが関係せざるをえなくなると思うのですが、正直なところ、意思なり動きなりがよく見えてきません。近江鉄道が西武グループから離脱するという選択肢も考えられるのですが(福井鉄道はかつて名鉄グループでした)、どのような方針を立てるのでしょうか。
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